大槻ケンヂさん率いる、全国のサブカルかぶれたちの味方(?)、ロックバンド筋肉少女帯(以下、筋少)について語るシリーズ2回め。


・最大のヒット作で筋少の基盤『猫のテブクロ』

猫のテブクロ
筋肉少女帯
トイズファクトリー
2009-08-19


ギタリストの橘高文彦さんと本城聡章さんが加入し、メンバーがようやく固定された時期のアルバム。そして、バンドブームの後押しや、収録曲の『日本印度化計画』がチェリオのCMタイアップに起用されたこともあり、歴代で最も高い売上を誇る作品。

「俺にカレーを食わせろ!」から始まる『日本印度化計画』はカレーの辛さにこだわる男をコミカルに歌ったバカ曲ですが、そのイメージでこれを買った人は面食らったことと思います。

冤罪によって13年の受刑を言い渡されて恋人にも先立たれてしまう不幸な男が「つらくとも、これでいいのだ」と歌う『これでいいのだ』はもはや哲学。タイトルからはバカボンのパパの顔しか想像できませんが、そもそもバカボンの名前の由来そのものが、VAGABOND=漂流者、であり、バカボンのパパは流浪の民なのです。井上雄彦先生のマンガ『バガボンド』も同じ言葉が由来。バカボンのパパ≒宮本武蔵、という真実(違)。途中の朗読をちゃんと聴くと、全く笑えない曲であることがわかります。

『Go!Go!Go!Hiking bus~Casino Royale~,The Longest Day~』は、『007 カジノロワイヤルのテーマ』に日本語の歌詞を付けたものですが、その内容は、遠足に行った子供が帰って来なかったという怖い物語。大槻さん自身も言っていましたが、そんなホラーな内容を007のテーマに乗せるのがカオス。そして特にフォローもないから、その後どうなったのかよくわからない。1900年にオーストラリアで実際に起きた事件がモデルなのだそうな。

月夜を散歩しながら物思う黒猫の気持ちを綴った『月とテブクロ』で、新美南吉さんの『手袋を買いに』みたいにハートウォーミングな終わり方をしますが・・・、どちらかというと『ごん狐』の感覚に近いな。

重い曲とユルい曲との乖離が激しいですが、筋肉少女帯の基盤はここでできたのだと思います。初期で最もおすすめなのは個人的にはコレです。


・例のアレも収録、だけど・・・『サーカス団パノラマ島へ帰る』

サーカス団、パノラマ島へ帰る
筋肉少女帯
トイズファクトリー
2009-08-19


前作の勢いもそのまま、この作品もヒットしました。でも、どうにも自分は苦手・・・。いや、ぶっちゃけ初期の筋少が全般的に苦手なのですが、それでもアルバム内に好きな曲がいくつかはあるものなのです。が、このアルバムに関しては、なんとまあ・・・、お気に入りの曲がゼロなんですよね。筋少ファンや大槻ファンからすれば、だいぶ少数派だとは自分でも思うのですが。

実は、筋少で最も有名な『元祖高木ブー伝説』、自分はあんまり好きではないのです。無力な自分はまるでドリフターズでいうところの高木ブーだ、と自嘲する歌ですが、ブーさんが何もできない人、という印象がまるでなくて、むしろウクレレが上手くてクリエイティブな人という印象の方が強いので、ダメ人間の象徴として描かれているのがあまり理解できない。『8時だョ!全員集合』を視ていないとわかんないのかなあ。

しいていえば、'80年代の産業ハードロック風味が満載な『また会えたらいいね』がわりと好きなくらい。タイトルは優しげですが、歌詞はめちゃくちゃネガティブで厭世的でビビる。

当時は超多忙で右も左もよくわからないままニューヨークでレコーディングすることになって、思い通りにできなくてメンバーの皆さんは落ち込んだらしいです。大槻さんもあんまり好きなアルバムじゃないらしい。


・傑作だけど崩壊のはじまり『月光蟲』

月光蟲
筋肉少女帯
トイズファクトリー
2009-08-19


後にL'Arc~en~Cielを担当する岡野ハジメさんのプロデュース。だからなのか、とてもキャッチーな仕上がりになっています。

製薬会社のCM曲になったシングル『サボテンとバントライン』を収録。爽やかな曲ですが、世を憎む映画好きの少年がアメリカンニューシネマに憧れて猫と一緒に自爆する歌ですが、脳内で教室の机とか椅子とかブン投げて暴れまわる妄想をしたことがある人なら、主人公の感覚がわかると思います。そうじゃない人は知りません。


『イワンのばか』は、前半はoiパンクなのに途中から美麗メロスピに変わる名曲。めちゃくちゃカッコイイ(語彙力)。

『僕の宗教へようこそ~Welcome to my religion~』はインチキ宗教家を皮肉った歌詞が楽しいですが、今こういうのネットサロンとかに・・・いや・・・失言しそうなのでやめときます。

このアルバム以降、作曲者のクレジットが「(作曲担当者)&筋肉少女帯」となります。楽器を弾けない大槻さんのみ鼻歌での作曲だったので、ちゃんと楽器を使って作曲している他のメンバーの苦労に対して不公平だという理由からだそうです。

この時期を境に、テレビ出演などの大槻さんの個人活動が盛んになり、それがバンド内での人間関係のバランスの崩壊を招くことになります。このあたりは『筋肉少女帯自伝』に詳しいです。メンバーによって言っていることが微妙に食い違っているのが逆に信用できます。

筋肉少女帯自伝
大槻 ケンヂ
K&Bパブリッシャーズ
2007-10-02



この記事を書いた人


henkou_ver


プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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