そんなに多くの新しい曲を聴いているわけじゃない。たとえば、1日に1曲、新しいアーティストを発掘していたとしても1年で365曲。時間は無限じゃない。そう、今年聴いた、数少ない曲のなかで最も気に入ったのがCigarettes After Sexの「Crush」だった。



2017年、Cigarettes After Sexのデビューアルバム『Cigarettes After Sex』がリリースされた。そして、今年、そのアルバムから1年後に発売されたのがシングル「Crush」だ。アルバムと同時期にレコーディングされたようで、「Crush」はアルバムの延長線上にある音になっている。

Cigarettes After Sexというバンドを形容するのにドリーム・ポップやアンビエント・ポップといった言葉がつかわれているが、おそらくどちらも当てはまらない。正確にいえば、当てはまっているのだが、従来のそれをは少しばかり異質な音を積み重ねている。ドリームだしアンビエントだけれど、せまい部屋でずっとずっと聴いていたくなるような中毒性をもった音がする。バンド名のせいで、CDがAmazonのアダルトカテゴリーに入っているのが笑えるけどね。



Cigarettes After Sexを知ったのはYouTube経由だが、公式チャンネルでもバンドのアカウントからでもなかった。「i'm cyborg but that's ok」という明らかに個人のチャンネルがあって、その人がおそらく自分が好きな音楽と映画の1シーンを編集してアップしていて、そのなかにCigarettes After Sexの曲がつかわれていた。

たとえば、「Crush」はアラン・ロブ=グリエが監督した「ヨーロッパ横断特急」がつかわれている。他なら、Sigur Rós「Ekki múkk」がタルコフスキーの「惑星ソラリス」とか、Alvvays「Archie, Marry Me」がウォン・カーウァイの「 いますぐ抱きしめたい」とか。曲と映画のセンスがなかなか良い。もちろん違反してるけどね。

「i'm cyborg but that's ok」
https://www.youtube.com/channel/UCxyXmU3VcCPAJ56nhoOuPiw

2018年が、もう終わりに近づいているけど、来年も、心躍ったり心地よくなったり心静めてくれる、そんな曲と出会いたいな…と。


Cigarettes After Sex
Cigarettes After Sex
Ptkf
2017-06-09



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