群馬県が誇るロックバンドでヴィジュアル系の先駆者的存在である、BUCK-TICK(以下B-T)のアルバムすべてについて語るシリーズ12回め。



・ガチガチにゴシックで暗黒『十三階は月光』



2004年は、B-Tとして初めて(初期の不祥事に伴う謹慎期間は除いて)バンド活動を丸々お休みし、櫻井さんはソロデビュー、今井さんはLucyというストレートなロックンロールバンドを結成しました。


櫻井さんの初のソロアルバム『愛の惑星』は、B-Tの『極東I LOVE YOU』の流れを汲んだ繊細な内容に加えて、岡村靖幸さんや佐藤タイジさんのプロデュースによるセクシーな面が楽しめる意欲作でした。


ただ、櫻井さんのソロライブを観た今井さんが、「俺の方が上手くあっちゃん(櫻井さんの愛称)をプロデュースできる」と言って作られたのが、初のコンセプトアルバムとなる今作。どれだけ仲いいんだ・・・。ちなみに、50代になった今でも、櫻井さんはメンバーからあっちゃん(下の名前が敦司だから)と呼ばれています。


それまでやっていそうでやっていなかった、「ゴシック」というテーマを掲げて、『Six/Nine』とは違うベクトルで重厚な作品となり、全18曲と過去最多曲数を誇るオリジナルアルバムに。

全体に怪しげで妖艶な空気が漂い、道化師やゴブリンやキャバレーの歌うたいが次々に降臨なさる、ストーリー性の高い内容です。が・・・、実はあんまり聴いていません。何がどう苦手なのかは『SEXY STREAM LINER』同様に上手く説明できないのですが・・・、たぶん自分はちょっとお茶らけたモードの時のB-Tが好きなのだと思います。

『Six/Nine』や『darker than darkness-style93-』は確かに櫻井さんの情緒不安定が反映されていましたが、その横で今井さんがどこ吹く風でふざけているのがいいんだよなあ。ここまでガチガチに暗黒だとキツイのかもしれない。

なので、後半で唐突にふざけた歌い方をし出す、歌詞も意味不明な『seraphim』が好きです。


春 狂 夏 空
秋は異形で サヨナラだ


うん。わからん。だがそれがいい!by前田慶次

この頃から、櫻井さんは年齢を重ねたことによるオーラを増すようになって、ファンから魔王とか呼ばれるようになったのもこの時期からのことだと思います。苦手ではあるけど、魔王としての櫻井さんをプロデュースした作品としては大成功の品。


・前作よりちゃんと祝福っぽい感じがするベストアルバム『CATALOGUE 2005』

CATALOGUE 2005
BUCK-TICK
BMG JAPAN
2005-12-07


1995年の『CATALOGUE』から10年、バンド結成20周年を超えたタイミングでリリースされたベストアルバム。結果的にそうなったという感じですが、B-Tの公式ベストアルバムにはすべて『CATALOGUE』というシリーズ名が付くことになります。

単純にシングルA面曲をリリース順に並べただけという印象が強かった前作に対し、今回は事前に人気投票が行われるなど本格的。とはいえ、実は人気投票の結果がそのまま反映されているというわけではなく、メジャー1stアルバム『SEXUAL XXXXX!』のラスト曲『MY EYES&YOUR EYES』は投票で上位だったにもかかわらず、収録が見送られました。

また、『SEXY STREAM LINER』関連の企画盤を出しすぎたことに配慮してなのか、同アルバム及び合体アルバム『97BT99』に収録された曲の多くは見送られています。そこに物足りなさを感じることと、現在となってはここでしか聴けない曲というのもないので、お得感はあまりないのですが、それでも代表曲はだいたい網羅しているので、入門編としては良いかと思います。



・豪華絢爛な2005年を締める初のトリビュートアルバム『PARADE』

PARADE~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~
オムニバス
BMG JAPAN
2005-12-21


上述のように、2005年は1年ぶりのバンド活動再開、そしてメジャーデビュー20周年超えというおめでたい年だったので、珍しく(非公式ではなく公式なものの)リリースが多かった年です。そのおめでたい年を締めくくるのがこちらのトリビュートアルバム。

なんといっても、参加メンバーが超豪華。※敬称略、当時は活動休止中だったバンドもいるけどそちらも省略。

・清春(黒夢、SADS)
・J(LUNA SEA)
・D'ELANGERのkyoとCOALTER OF THE DEEPERSのNARASAKIのユニット RUNAWAY BOYS
・GLAYのHISASHIを中心に結成されたロックバンド rally
・T.M.Revolutionの西川貴教を中心に結成されたロックバンド abingdon boys school 


といった、わりとお化粧系やヴィジュアル系に近いところ出身の方々から、

・土屋昌巳(一風堂)
・遠藤ミチロウ(ザ・スターリン)


といったロック界の大先輩、

・KEN ISHII
・MCU


と、テクノやヒップホップの大御所まで、幅広い人選となっています。


清春さんの『JUST ONE MORE KISS』は、原曲の儚げな雰囲気は消えましたがキラキラ感は健在。ただ、寂しく呟いているというより、掠れた声で叫んでいるという印象。天使のざわめきが似合う櫻井さんと、悪魔の囁きが似合う清春さん。

Jさんの『ICONOCLASM』は、ラストで唐突に「Destroy!!」というシャウトとともにグランジアレンジになるのが面白い。

rallyのボーカルはGLAYのTERUさんですが、原曲のイントロのシャウトを是非やってほしかったのだけど・・・そこはスルー。でも、聴いたことないのに「うぅぅっ・・・あぁぁぁっ・・・」が脳内再生できてしまうのがTERUさんの凄み。


ラストのabingdon boys schoolの『ドレス』は感涙もの。原曲はこの年、アニメ『トリニティ・ブラッド』の主題歌に起用され、12年ぶりに別ミックスでシングルカットされました。どういう経緯だったのだろう・・・?

ドレス(bloody trinity mix)
BUCK-TICK
ビクターエンタテインメント
2005-04-20


原曲のアンビエントさをぶっ壊し、ピコピコしつつも荘厳な出で立ち(音楽に対して出で立ちってなんだ?)。西川貴教さまの圧倒的声量が僕の心のやらかい場所を今でもまだ締めつける・・・いやこれは全く関係ない歌詞だった。それはともかく、HEY×3でダウンタウンにどつかれていた彼の姿しか知らない人にこそこのアハ体験をしてほしい。1ミリも退屈しない、素晴らしき歌。



・歴代順に他のアルバムについても書いていますので、よろしかったら過去記事もお願いいたします!

・酒とキラキラとビートロック-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.1-

・アイドル?からだんだん闇へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.2-

・闇の中で悲しみを・・・-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.3-


・闇よりも深い自滅へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.4-

・本格的な不安定へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.5-

・カオスの絶頂期-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.6-

・酒と被害妄想に溺れて-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.7-

・別のベクトルで壊れた?-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.8-

・電脳世界(?)へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.9-

・大人の事情も超えて生きていく-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.10-

・戦争と平和と櫻井と今井-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.11-


この記事を書いた人


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プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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