群馬県出身で、1987年のメジャーデビュー以降いっさいメンバーチェンジをしない、ヴィジュアル系の先駆者ともいえるロックバンドBUCK-TICK(以下B-T)について語るシリーズ10回め。


・とにかく突っ込んでみたアルバム『97BT99』


97 BT 99
BUCK-TICK
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
2000-03-29


『SEXY STREAM LINER』のアルバム丸ごと全部、先行シングル『ヒロイン』、その後のシングル『囁き』『月世界』『BRAN-NEW LOVER』『ミウ』を突っ込んだアルバム。かなり無理くり作ったアルバムな上に、公式サイトにはわざわざ「※この作品についてBUCK-TICKメンバーは一切関わっておりません」と但し書きがあるなど、なんだか曰くつきというか、大人の事情しか感じないアイテム。

ですが、『BT』同様に、後追いには便利ではあります。前回で書いたように、自分はこちらの方でまともに『SEXY STREAM LINER』を聴きました。そして、DISC2に収録されたシングル4作のうち3作がいずれも名作で、特にアコースティックで幻想的なバラード『ミウ』はドラマティックで浮遊感に満ちた気持ちいい名曲。「人間にはさようなら いつか来るじゃない」という繰り返しがじわじわ来る『BRAN-NEW LOVER』は、カップリングの攻撃的なロックンロール『DOWN』、ひとりきりで砂丘を歩いているかのような寂寥感ただよう『ASYLUM GARDEN』と、3曲すべてがかっこいい。


・大人の事情の極致『スーパー・バリュー BUCK-TICK』

スーパー・バリュー
BUCK-TICK
キティMME
2001-12-19



まーたリリース順は前後してしまいますが、大人の事情で出た『97BT99』よりもさらに大人の事情を感じるのがこのスーパー・バリューシリーズ。このシリーズは、BUCK-TICKのみならず色んなアーティストのものが投げ売りされていました。

選曲が全部『SEXY STREAM LINER』のものなのはともかく、本当にアルバムから適当に数曲を選んだだけっぽい投げやりさ。このシリーズの選曲は他のアーティストのものも適当らしく、筋肉少女帯のスーパー・バリューについて大槻ケンヂさんは著書で「結果的にレア曲集になっている」という趣旨のことを述べていました。



・最初に聴くならこれをおすすめしたい!B-Tスタンダード『ONE LIFE,ONE DEATH』

ONE LIFE,ONE DEATH(完全生産限定盤)
BUCK-TICK
アリオラジャパン
2017-12-29



2000年代になって第1弾のオリジナルアルバム。

2度めのレコード会社移籍。前作から2年半以上という、それまでで最長のインターバルを挟んでのこのアルバムは、それまでの「総括」のような内容。

ダークな曲もポップな曲もあり、色んなB-Tが楽しめる作品となっています。なので、最初に聴くB-Tのオリジナルアルバムとして最もおすすめ。2つめにおすすめしたいアルバムは、ここでどの曲を気に入るかによります。完全に独断と偏見ではありますが、この曲が気に入ったら次はこのアルバムを聴け、という一覧を作りましたので、よかったら参考にしてみてください。


・『Baby,I want you.』→『SEXY STREAM LINER』
・『CHECK UP』→『RAZZLE DAZZLE』
・『GLAMOROUS』→『COSMOS』
・『細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM』→『アトム 未来派 No.1』
・『カイン』→『97BT99』
・『death wish』→『darker than darkness-style93-』
・『女神』→『天使のリボルバー』
・『サファイア』→『十三階は月光』
・『RHAPSODY』→『夢見る宇宙』
・『FLAME』→『memento mori』



逆に、まとまっているこの作品を最後に聴くというのもアリです。『細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM』のドリーとは、世界初のクローン羊して有名になったドリーのことですが、眠らない時に羊を数えるのになぞらえた「ドリーが1匹、ドリーが2匹」というアホっぽい今井さんのコーラスが楽しい。今井さんの歌詞は他にも冴えまくっていて、RPGゲームの選択肢みたいな構成の『CHECK UP』も面白い。


お前が選んだのはどれ?

1、生き延びるために上につくタイプ
2、まぐれ当たりに期待するタイプ



・・・どっちを選んでもまあ辛いのだが、世の成功した起業家とか、Twitterでリツイートを稼ぎまくる系インフルエンサーな方々の多くはだいたい自称2だよな。実際には1の要素も持っているんだろうけど・・・。頭わるいやつが下手に2を真似すると痛い目に遭う。それを覚悟でパンクスピリットを貫く生き方もあり。

ラスト近くの『RHAPSODY』では「愛と勇気とケータイ持って」というフレーズも。「有象無象の魑魅魍魎が跋扈する海の中のあの世界」から抜け出した末のリアリティー。今井さんのLOVE&PEACEぶりは2010年代になってさらに加速するのですが、それはまたいずれ。

櫻井さんは櫻井さんで、何があったのかアゲアゲ(これも最近は言わんな)だ。「トロピカルSEXY・天国 飛び散るステーキ・ソース」・・・ようやく鬱から抜け出せたようでして。かつては、「踊らされて俺は生きていける」と自嘲的だったものが、「さあ踊ろう 泣けてきちゃうくらい 喜びで 狂おしいほど震えるさ」と。流れで聴くとグッと来るものがあるな。ラストの『FLAME』も、強迫観念ではなく素直に生きていこうというメッセージ。


花が咲き乱れる様に 花が死んでいくように
君が咲き乱れる様に 俺は生きていけばいい
花が咲き乱れる様に 花が死んでいくように
俺が咲き乱れる様に 君は生きていけばいい


これも『ドレス』のサビの歌詞と同じく、センテンスの文字数が合っているのが綺麗です。「様に」と「ように」の使い分けは、作詞のポイントのひとつなのだと思います。漢字をあえてつかうところと使わない所、此れは文章に於いて重要なファクターで或るのだと、ハッとさせられますね。・・・気をつけよう。気をつけたところで詩的な文章が書けるのかどうかはわからんが。



・後の年末恒例ライブのきっかけとなったライブを収録『ONE LIFE,ONE DEATH CUT UP』

ONE LIFE,ONE DEATH CUT UP(完全生産限定盤)
BUCK-TICK
アリオラジャパン
2017-12-29


年末恒例のライブシリーズとなっている「THE DAY IN QUESTION」のきっかけといえる2000年12月29日の日本武道館での公演を中心に選曲された、2枚めのライブアルバム。

アルバムツアーの最終公演なので、当然ながら『ONE LIFE,ONE DEATH』の楽曲が中心ですが、その中に詰め込まれた『唄』や『ドレス』の存在感たるや。そしてラストの『鼓動』は感涙もの。おそらく10年ぶりくらいに演奏された『PHYSICAL NEUROSE』は、とてつもない歓声を呼び、以後しばらくはお馴染みのチューンに。


「THE DAY IN QUESTION」は、2001年から現在までずっと年末に開催されている、歴代のすべての楽曲からセットリストを決めて演奏されるライブです。基本的に年末の1日間だけ日本武道館で行われますが、2日間あった年や3~4ヶ所を周る年もあったり、発表を待つまでどんな形式かわからないというイベント。今年の年末に大阪か京都を周ってくれたら、自分も行こうかなあ(だとしたらB-Tライブ初参戦)とは思っています。

去年はデビュー30周年で「THE DAY IN QUESTION」自体でツアーをやっていて、充分に行くチャンスはあったんだよなあ・・・。今年は12月29日の日本武道館が最新アルバム『No.0』の最終公演なので、もしかしたらないかも・・・?原点が『ONE LIFE,ONE DEATH』ツアーだったように、年末にオリジナルアルバムのツアーの最終公演のスタイルに戻った?





・歴代順に他のアルバムについても書いていますので、よろしかったら過去記事もお願いいたします!

・酒とキラキラとビートロック-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.1-

・アイドル?からだんだん闇へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.2-

・闇の中で悲しみを・・・-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.3-

・闇よりも深い自滅へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.4-

・本格的な不安定へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.5-

・カオスの絶頂期-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.6-

・酒と被害妄想に溺れて-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.7-

・別のベクトルで壊れた?-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.8-

・電脳世界(?)へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.9-




この記事を書いた人


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プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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