群馬県出身のロックバンドで、ヴィジュアル系の先駆者にしてずっと同じメンバーで現役。BUCK-TICK(以下B-T)、第7回めです。


・まだ自嘲癖は続くぜBABY(ヤケクソぎみ)『Six/Nine』


Six/NiNe (デジタル・リマスター盤)
BUCK-TICK
ビクターエンタテインメント
2002-09-19


前回の続き、アルバム『Six/Nine』の後半戦です。B-T最高に聴く相手を選ぶ曲『相変わらずの『アレ』のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり』に続き、櫻井さんの叫びをそのまま表現した『デタラメ野郎』へ。


生きる・自由 
死ぬ・自由
ウォォォォーッ 
ウォォォォーッ 
ウワァ
ァァーッ
ガァァァーッ



ウォォォォーッ」とか「ウワァァァーッ」とかも歌詞に含まれます。きちんと歌詞カードにも記載されています。「ガデムモーター超フル回転」というフレーズもパンチが強い。ガデムモーターって何?『機動戦士ガンダム』の初代にガデム艦長というキャラクターが出てきますが、まさかガンダムは関係ないだろうしなあ。

「睡眠薬をバーボンで!」という熱い語りが面白い。もちろん危険なので実際に真似してはいけません。この頃の自暴自棄な櫻井さんならやりかねないけど。実際に酒に溺れて、ウォッカを呑んで気絶していたらしいし。引きこもり時代、なぜかこの曲がアルバム内で1、2を争うレベルで大好きだったのですが、酒に溺れて自堕落になってしまう人にどこか憧れがあったのかもしれません。本当に自堕落になった人を目の当たりにしてからは、その憧れは消えたけど。


もうひとつ、引きこもり時代にわりと好きだったのが『密室』で、犯罪的な愛の歌ですが、大人っぽいと当時は思っていたのだろうか。今はこの曲の受け取り方は少し違っていて、犯罪的というよりも主人公のひどい思い込みの歌なのだろうか・・・という解釈です。どちらにしてもベクトルが違うだけで、猟奇性をはらんでいることは同じだけど。


この先はラストスパート。『Kick(大地を蹴る男)』は、・・・うーんこれは、よくわかんないなあ。このアルバムの中ではポップな曲。というか、盆踊りみたいなメロディーだ・・・。「道化師 躍れ 躍れ それが運命 光る地獄で泣きながら」は、ステージ上の櫻井さんご自身に向けたものですね。その自嘲は『愛しのロック・スター』でもっと具体的に。

ファンに向けて「もし僕がブタになっても君は微笑う」「もし僕がサルになっても君は微笑う」なんてボーカリストが朗々と歌うキツさ。これは絶世の美男子の櫻井さんだから為せる技。「もし僕が星になっても君は微笑う」で締めくくられているけど、これは前年に自殺したNIRVANAのカート・コバーン氏の件も含んでいるのかな・・・?


先行シングル『唄』はアルバムバージョンでは前半部分が少し削られ、唐突にヘヴィなギターフレーズが現れる仕様に。こちらのバージョンの方が躍動感があって好きです。「この世で激しく 燃えろよこの命」と、松岡修造さんばりの熱血フレーズが繰り返されます。まあ、この流れの中だと、ヤケクソ感が強いですが。

後にシングルカットされた『見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ』は実質的にトリの曲ですが、ものすごくモヤモヤした煮え切らない気分を抱えさせてくれる不安定チューン。チューニングが安定していないと意味ではありません。ありませんが、・・・変拍子なのかなこれ?音楽的知識がないからわからないけど。ちょっとノリにくい曲で、慣れるまで時間がかかりました。


誰かが生きれば 泣いてやるさ いつでも
誰かが死ぬなら 笑いかけてやるのさ



アルバムバージョンの歌詞ではこうなっているのですが、これはファンに対するメッセージなのか、それとも自問自答の最終結論なのか。


真実を 真実を 嘘を 嘘を 嘘を




・・・いや、どっちやねん、と言いたくなりますが、おそらくそういう感覚こそが『見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ』なのでしょう。まあそれ言っちゃうと、今まで自分がこのブログで書いた内容、全部そうなっちゃいますが。

本当の締めくくりである『Loop MARK Ⅱ』は、1曲め『Loop』から櫻井さんの語りを抜き、今井さんの「り」「ん」「ね」(=輪廻)の1文字ずつの呟きだけで終わる曲。櫻井さんは自暴自棄になってどこか宇宙空間へと飛び去ってしまいました。また会いたい人は、1曲めから再生して、また陰鬱な世界に70分間どっぷり浸かってください。


唯一の救いの曲『鼓動』のPVです。静止画のように見えますが、ちょっとずつ動いています。目を開けて寝る人を初めて見た時、ずっとこんな状態で怖かった・・・。




・酒とキラキラとビートロック-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.1-

・アイドル?からだんだん闇へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.2-

・闇の中で悲しみを・・・-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.3-

・闇よりも深い自滅へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.4-

・本格的な不安定へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.5-

・カオスの絶頂期-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.6-

この記事を書いた人

henkou_ver

プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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