群馬県出身のロックバンドで、ヴィジュアル系の先駆者にしてずっと同じメンバーで現役。BUCK-TICK(以下B-T)、第5回めです。



・酒とキラキラとビートロック-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.1-

・アイドル?からだんだん闇へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.2-

・闇の中で悲しみを・・・-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.3-

・闇よりも深い自滅へ-BUCK-TICK全アルバム紹介Vol.4-




・豪華なのかもしれないけど、難解すぎてちょっと・・・『シェイプレス』



海外の名だたるアーティストが参加したリミックスアルバム。

テクノ、アンビエント、ハウスといった音楽が混ざりあった作品なのだそうですが、巨大なジャケットの方がインパクトに残ってしまう企画盤。

なにせこのジャケット、通常のCDケースの約4倍の大きさなのです(現物で図った)。その巨大なジャケットには分厚い写真集が挟まれているのですが、中東の人々の姿や現地の建物の写真がメインで、メンバーも撮影に参加してはいるものの、控えめにしか写っていなかったり影だったり・・・。なので、メンバーの姿を期待するとガッカリすると思います。アートとしては凄いのかもしれないけど。


CDの方も、凄いのかもしれないけど自分にはどうにも理解できず、B-Tを素材に使う必要あったのかな?と思うようなものがほとんど。多くの曲で歌が抜かれていることからもそう感じてしまい、どうにも個人的には苦手です。もっとも自分はリミックスそのものが苦手というのもありますけれど。2000年前後、多くのアーティストがシングルのカップリングにリミックスバージョンを入れていましたが(B-Tもしていました)、どうも・・・うーん・・・。

天才かつ変態ミュージシャンとして知られ、当時は奇跡の若手と称賛され、現在は大御所のエイフェックス・ツイン氏も参加。氏は「嫌いな曲しかリミックスしない(この世からクソな音楽を減らすため)」というこだわりがあるそうでして・・・。じゃあ氏は『キラメキの中で・・・』が嫌いということなのか?


ちなみに、もともと日本語タイトルだった曲は英訳タイトルに変わっているのですが、『太陽二殺サレタ』が『Killing』なのは・・・。殺された方が、殺している方に・・・?わからん。

やっぱり難しい作品だ。ただ、これに参加されているミュージシャンを自分が知らないという不勉強もあるのですよね。参加者のファン、あるいは、アンビエントやハウスに傾倒していれば理解できるのだろうか?と思いつつ、たぶん10回も再生しておらずクローゼットに・・・。

これ、当時の現役のB-Tリスナーにとってはどうだったのでしょうか。ちなみに当時価格5000円。中高生ファンには高額だったはず。オリコン5位、売り上げ11万枚。購入層の多くは大人だったのだろうか。


・情緒不安定な問題作『Six/Nine』(紫盤)

Six/NiNe (デジタル・リマスター盤)
BUCK-TICK
ビクターエンタテインメント
2002-09-19


B-T史上最大の問題作。にして、現時点で最後のオリコン1位獲得作品。

実は最新アルバム『No.0』はオリコン2位で、惜しいところまで行っているのです。これがB-Tの出戻りの恐ろしさ。もちろんその背景にはCD業界全体の売り上げ低迷があることは自分だってわかってはいますが、それでも、ずっとバンドが良いテンションで続いていなければ、そんなことは起きない。

かといって、次は1位だぜ!とか言わないのがB-Tファンの礼儀だと思っている。もちろん、結果的に1位になったら喜ぶけども。でもなんか、誰かと競ってどうこう、じゃない気がするのです、このバンドは。だから長続きするんじゃないかなあ。あそこに負けた、とか、別にないから。


さて、この『Six/Nine』ですが、前作『darker than darkness』を超えるダウナーさを誇っています。

『狂った太陽』の直前に母親を亡くし、その時の状況がトラウマになり、著書『LOVE ME』で触れられているような荒れた家庭環境の影響、バンドブームの衰退によるB-Tの見られ方の変化、様々な理由からか、ボーカルの櫻井さんは当時、本当に心身ともに疲れてしまったらしく、その苦悩がかなり反映されています。

自虐思考はかなり酷くなり、時に自暴自棄、時に成り行き任せ、時にやたら熱くなり、時に感謝しまくる、情緒不安定な状態。ある意味では、もうこんな作品は作れないし、作られても心配になってしまう。

でも、引きこもりの頃には非常にお世話になりました。ええ、自分が初めて聴いたB-Tのアルバム、これなのです。


最初は図書館で借りました。紫色のケースのやつ。このアルバムは、紫色のケースのものと赤色のケースのものがあるのです。

というのも、もともと発売されていた紫色の方には、収録曲『楽園』にイスラム教の聖典『コーラン(クルアーン)』が逆再生で引用されており、それに対して日本のイスラム教団体からクレームが入ったため。紫色は回収され、後にクレーム対象部分を抜いた赤色がリリースされました。その後に再発されたものや、配信音源も赤色の内容です。

これの是非については言及しません。というか、できません。宗教はわからない。各々の正義の違いもわからないので。ただ、『楽園』は社会問題に向けて広く問いかけている内容の歌詞で、それまでとは明らかにスケールが違うことを感じさせます。


前説だけでけっこう長くなってしまいましたが、具体的な内容については次回。

アルバムの全容こそ自暴自棄ですが、先行シングルの2枚はどちらも、生きることへの執着を歌っています。まずはそのうちの1曲、『唄』をお聴きください。それではまた来週。







この記事を書いた人


henkou_ver


プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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