『ぴょーん』 まつおかたつひで ポプラ社
この絵本は、ユーモアがあります。まずはかえるが「ぴょーん」。ととぶんですが、上下二ページにわたって力いっぱい飛んでます。
そう、この本は、左右に開くのではなく、上下に開くのです。
上にむかってとぶんだから、考えてみれば当たり前かも知れませんが、最初めくったときはびっくりしました。
この絵本の最初に出てくるかえるのとぶ様子が、遊び心いっぱいに描かれていますので、お子さんが喜びそう。
じゃあ、次はなにかな?
こねこが「ぴょーん」。まじめくさった顔でいきなり飛びます。ねこが上空を飛ぶのは、BSでやってる「岩合光昭」のねこシリーズで、たびたび見たことがあります。
建物と建物の間をとんだり、木にむかってとんだり。
ねずみに向かってとんだりします。
岩合さんも、よくあんなシーンを撮れたものですが、絵本の人も、よく観察してるね。この絵本ではねこが一匹しかいませんが、おなかを見せてとんでいるから、へそのあたりまでリアルです。(でも、そのリアルさがなんとも可笑しい)
いぬやばったも続いて、「ぴょーん」ととんでみせます。この、飛ぶときの擬音語の文字の形(フォント)が、ギャグなんです。このまま、漫画になりそうです。
さて問題。だれがいちばん高くとべたかな?
ページをめくって比べてみます。いぬはいいセンいってそうですが、ばったも身体を目いっぱい広げているので、負けてはいないようです。ねことばったはどうでしょう。どちらもがんばってますね。
みんな、とぶことに挑戦するのが楽しいみたい。小さな生き物から、ペットたち、中にはとべそうにない生き物も出てきて、とぶことを競っています。
みんな、はじめてのぼうけんにしては、上手にとんでます。
両手両足をひろげて、空に向かってまっしぐら。
自由だ! と主張しています。
主婦のわたしには、うらやましい。
とべそうにない生き物が出てくる、と先ほど言いましたが、その生き物はのろのろと動き、地面をはい回っているし、足もありません。
(でもヘビじゃ、ありませんよ! ヘビだったらとべるし!)
で、その生き物も、とぶのかな~と期待させておいて……というところが、笑える絵本ですね。ちっちゃな生き物に向ける暖かなまなざしがすてきです。
その、意外な生き物も含めて、全体的に元気いっぱいになりそうな絵本。
にわとりのおやこがいっしょにとぶ絵もありますので、絵本を読んでもらう子どもと一緒に「ぴょーん」ととんでみても、いいかもしれない(笑)
とぶときは、横断歩道の白い部分だけをねらってとぶといいかもしれませんね(交通事故には気をつけて!)
こころの深いところに力を分けられるような、ふしぎな絵本です。
あすにゃん
猫とお菓子と広島がすきです!
漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。
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