『1つぶのおこめ』  デミ作 講談社青い鳥文庫

  さんすうのむかしばなしです。さんすうが苦手なわたしには、ちょっとハードルが高かったですが、読んでみるとさほど難しい話ではありませんでした。
  インドの暴君が、民から米を取り立てていて、ちっとも民のことを考えてないんです。それで、かしこい娘が、このケチな暴君とある取引をするんです。
  この暴君は、ちょっと頭が悪いかもしれません。この娘が拾ってきた米を見て、なんでも褒美をとらせるって、自意識過剰ということも割り引いても、助言者がいなかったのかな、と疑ってしまいます。


 
  そういう細かい部分の作り込みはともかくとして、この本は絵本なので、絵がとてもエキゾチックで楽しいです。シカが出てきておこめを運んだり、ゾウが行列をなしてこめだわらを運んだり。
  だんだん増えていくおこめの量、それにつれて絵本もまたページ数が増えていって。
  動物たちの表情も、ひとつひとつ違っていたり。
  暴君の暴政にくるしむ村人たちの姿も、みょーに三次元的な感じ。


 
  三次元的、というのは、外国の人形みたいにリアルだけど、どことなくかわいらしいんですよ。村人たちの姿も、牛の描写も、もちろん暴君やかしこい娘の表現も、いかにもインド! という感じで、小さなフィギュアを使った人形劇を見てるみたい。
  自分はかしこくて正しくて優しいと思い込んでいる愚かな王さまも、きちんと王さまらしく描かれていて、悪役なのに手をぬいてないところが好印象。

 
  この絵本でのキモは、かしこい娘が最初1つぶだけのおこめを褒美にしていたのが、一日経つごとに2倍ずつおこめをもらっていく、というところでしょう。
  インドというところは数学が異常に得意な国、と聞いてますが、この話を子どもに聞かせる、ということ自体、日本とインドの教育の違いというのがわかるかな、と思ったりします。
  もっとも、インドは、カースト制があるんだけどね。

 
 
  インドという国がどういう国で、このむかしばなしは、どの階級を対象にしているのか、そしてさんすうの教養を知ることで、どんな利益があるのか? 成績につながるのか? 
  いや、さんすうが嫌いだから、そう言ってるのじゃないからね!
 
  それにしても、ひとつぶがふたつぶに、ふたつぶがよんつぶに……。どんどん増えても王さまの、泰然とした態度がなかなか楽しいです。ほんとはこの王さま、いい人なのかもしれません。


 あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。



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