『窓ぎわのトットちゃん』  黒柳徹子 講談社
窓ぎわのトットちゃん
黒柳 徹子
講談社
1981-03-06



 小学中級以上を対象とした、黒柳徹子の自伝的な児童小説です。
  
  学習障害の気があった黒柳徹子さんは、小さい頃は自分が「トットちゃん」という名前だと思い込んでいた。小学校で問題行動をおこしてばかりいた徹子さんは、退学の憂き目にあい、新しい『トモエ学園』に転校。そこで校長の小林先生と、運命的な出会いを果たす。
「きみはほんとうは、いい子なんだよ」という小林先生のことばは、のちの徹子さんのこころの支えとなったのであった。

 というストーリー展開ですが、この『トモエ学園』の独特な授業は、何度読んでもふしぎでインパクトがあります。





 好きな授業から勉強を始め、時間内にすべて終わらせる。
 自発的に質問させる。勉強が午前中にすべて終わったら、午後から散歩。
 自然を観察し、町の歴史に触れる子どもたち。
 小児麻痺の子も一緒に学んでいる。ここには差別などはなかった。

 裸でプールに飛び込む!
 みんな、身体もこころもまっさらにしているのです。
 すなおで、優しい子に、黒柳徹子が育ったのは、当然でしょうね。



 時代が、どんどん『言論統制』に傾いているのに、
 トモエ学園だけは、ダンスをしたり、歌ったりしています。
 周りの批判もあったでしょう。
 自分でも、迷うことがあったはず。
 だけど、学園の子どもたちが、『トモエ学園、いい学校!』と歌ったことで、
 小林先生はとっても励まされたはず。



 ノンフィクション系の話で、戦後最大のベストセラーと言われていますが、講談社はここまで売れるとは予想していなかったらしい。
 学校が荒れて、警察が学校に踏み込むような時代に発表された、ということもあるでしょう。
 わたしのこころに、一番印象にのこったシーンは、やはり、
「よくかめよ」を学校のみんなが歌うシーンでしょうか。

 それにしても、徹子さん、頭めっちゃいいですね。よく覚えてるよ。
 そして、自分の恥を、客観的に、突き放して書いている。
 自分への批判能力は、相当なものですよ!
  ちんどん屋さんを呼び込むとか、机のフタをぱたぱた開け閉めするとか、ふつう、書きたくないだろうに、勇気を持って書いている。
 だからこそ、小児麻痺の男の子との友情や、物理を志す子との恋とかが、好感を持って読めるのでしょう。

 国が違っていても、身体が不自由でも、徹子さんは、まっすぐな目でそれを直視します。
 本気で『トモエ学園の先生になりたい』と思っていた彼女。
 戦争がなかったら、そうなっていたかもしれませんね。
 戦争は、ひとの人生を大きく変えるのだということを、あらためて考えさせられるお話でした。

 

 
 あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。

 

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