かぐや姫 岩崎書店  円地文子 文

円地 文子
岩崎書店
1986-03


    日本最古のSFで、童話になったのもこの話が最初ではないでしょうか。この絵本はひらがなばかりでちょっと読みにくかった。とはいえ、原作の におい はちゃんと残しているところが立派だと思います。
    
    最初に翁が竹のなかに赤ん坊を見つけたとき、「この子は自分の子になることに決まっている」というシーンがありますが、これは古文の原文を読まないとダメだなと思いました。
    竹取の翁は、籠(こ)を作るために竹を取っていたわけです。つまり、竹=子というダジャレなんですね。このあたりは古い感覚なので、いちいち説明しないとわからない面もあるわけですが……。


    
    五人の貴族の挑戦と失敗も、ひとつひとつあらすじになっていまして、カイがないとか捨て鉢とかいう語源の話は「なし」でした。こういうのがあると楽しいと思うのは、わたしが大人の感覚だからかな。
    
    帝まで出てきてかぐや姫に求婚します。そこで帝にかぐや姫は正体を明かすわけです。家にいるだけで光り輝いていたから家に侵入してつきあってくれという帝は、れっきとしたストーカーと家宅侵入罪で逮捕されますぞ。
   



    ところで、かぐや姫がなぜこんなに魅力があったのか。
    美人だと言うだけで男どもが群がるというのもアレですが、どうやら教養もあるようで、帝と文通したりしています。
    わたしはかぐや姫の関連本をあれこれ読んだことがあるんですが、それによると、かぐや姫は ペルシャからやってきたんじゃないかって……。
    だから金髪で、光り輝いていたって。
    うーん。無理やりな説明ですわ……。




    
    この絵本には、肝腎の富士山がなぜ煙を噴いているのかという説明がされていません。かぐや姫とは関係ない話とは言え、面白いんだから残してもいいのに。
    でも、天女の絵とかかぐや姫の絵とかきれいでしたね。 
    富士山の絵を描けなかったのかなぁ(笑)

 

 わたしはおおざっぱに書いていますが、この絵本は当時の風習とか衣装とかも忠実に再現しているし、なによりあらすじだからって手をぬいてないところがいいですね。
 多少、原作とは違うところもありますが、バリエーションの一種だと思えばいいんですよ! 失敗する貴族たちの絵や、失敗するシーンの絵とかが「それらしい」ので、これがフィクションだとわかっていても、昔はこうだったのかなとか思えてきちゃう(汗)




 絵について言えば、おじいさんおばあさんはやさしい顔。
 貴族たちは情けない。
 帝はちょーカッコいい。
 天女が空からやってくるシーンは、牛車が金色で天女たちも美人!
 はじめは人間と言うよりは冷たい爬虫類みたいな性格だったかぐや姫も、帝と文通するうちに人間らしくなっていく、この心の変化がわかる年頃に、もう一度読んで欲しいと思います。
 物語のとっかかりとしては、いい話だと思いました。

  あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。

 

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