前回に引き続き、1度めの解散までのSADSについて。


・Heavy,Loud and Glamorous.Violent Metamorphosis! 『THE ROSE GOD GAVE ME』

THE ROSE GOD GAVE ME
sads
エイベックス・トラックス
2010-07-07


「HEAVY&LOUD。そしてGLAMOROUS。暴力的変貌を遂げた新生サッズ、反逆のリアル・ファースト・アルバム!」

なんだかパワーワードだらけなキャッチコピーが印象的ですが、実際に、3作めにしてようやくロックバンドらしくなったので、というかそれまでの2作はいずれも手探り感が強かったので、まさに本当の意味でのSADSのファーストアルバムだと思います。その後の活動は尻すぼみになってしまうのですが・・・。

このアルバムと同時に、メンバー全員がこのアルバムにちなんだタトゥーを彫るという気合いの入れよう。連帯感を意識して、この後のライブツアーでも何度となく打ち上げを繰り返すのですが、皮肉にもそれが1度めの解散の引き金のひとつをひいてしまいます。

歌詞は過去最高に内省的で個人的な内容となり、さらにオブラートに包むために英語が多用されました。

タイトルの「THE ROSE GOD GAVE ME(=神が僕にくれた才能)」は、清春さんご自身のことを表しているとのことです。・・・かなり直球で「俺は天才」と述べているようなものです。凡人にはこんなタイトル付けられん。

世間的にラウドロックが流行り出した時期で、このアルバムもその影響を多少ならずとも受けているのが窺えますが、いわゆるテクニカル系な感じでも『BABYLON』みたいなサイケな感じでもなく、当時は洋楽チックだと思っていたけど今は案外そうでもないと思ってしまう、独特なスタイル。それが「神が僕にくれた才能」なのでしょう。たぶん。


また他人との美的感覚の違いを表すサーモグラフ、それもひたすら楽しい
心地良い空間・体温・音楽・闇
簡単な事なんてあるはずも無く、難解な事ほど中身はない
だとしても僕の歴史は誰も僕以上に詳しくはなれないし
多分これは僕の歴史上、最も美しい再生



・・・どれだけのナルシシズムをもってすれば、これを朗読できるのだ・・・?ついていける奴だけついてこい、という姿勢。実際に初期のパンク路線が好きだったファンは篩にかけられたのでは・・・?逆にもっとどっぷり浸かった人もいるだろうけど。

ラウドロックとグラマラススタイルの融合というのは、当時は新しすぎたかも。今こそ評価されそうな作品・・・と勝手に思っています。ちなみにこれ、このSADS時代で最も聴いた回数が多いです。どこがどう、っていうわけじゃないんですが、なんか黒夢時代の無鉄砲な雰囲気があるんです・・・思わず失笑されてしまいそうなくらいの。


・終末感が漂う、このSADSでのラストアルバム『13』


13
sads
エイベックス・トラックス
2010-07-07


前回で触れた、『BABYLON』のツアーで抱えてしまった借金の返済のため、苛酷なライブツアーを敢行し、会場とファンクラブ限定で販売したアルバム『" "(untitled)』を経て、2003年にリリースされた、1度めのSADSとしてはラストのアルバム。

『" "(untitled)』は後に一般販売され、現在も入手不可というわけではありませんが、自分は持っていません。・・・なのでここでは飛ばさせていただきます・・・。すみません。BOXセット『Sads Rare BOX「リクープ」』にも収録されていますが、これも高価すぎてノータッチ。・・・ていうか書いといてなんだけど、自分は黒夢の方が好きなんよ・・・。

コンセプトを意識していたそれまでとは違って、多くの候補曲の中から選ばれたアルバムだからか、あまりひとつのアルバムとしてのまとまりは感じません。2000年のシングル『NIGHTMARE』が『ナイトメア』とカタカナ表記になり、かなりテンポを上げて再録されています。こっちの方が断然かっこいい。

一番の特徴は、清春さんがアコースティックギターで弾き語りをするようになったこと。それまでは「ギターを弾きながら歌うボーカルはダサいから一生やらない」みたいなことまで述べていたのに・・・。その影響で、急激にフォーキーな曲が増えました。

この背景には、前述の苛酷なツアー中に、ドラムの満園さんが酔っ払って膝枕をしながら寝てしまい、そのせいで左腕を負傷して途中離脱を余儀なくされてしまい、結果的に中止となったステージで即興的に行ったアコースティックライブがあります。アルバムのレコーディング中に再び調子が悪くなってしまった満園さんは、結局はほとんどの曲に参加しないまま実質的に脱退。

そして、ギターの坂下さんとベースの小林さんが、『BABYLON』後に脱退した元メンバーの牟田さんとバンドを組んだことに清春さんがブチ切れ、実質的に活動停止。

清春さんによれば、「SADSは僕+サポートメンバー」だそうで。・・・個人的には「ん?」と感じてしまいますが、1度めの解散はここで行われた、と思っています。


2010年に新メンバー体制になってからのSADSは1人しか脱退していないみたいなので、まだ上手くいっている方なのかな・・・わかりませんけど。復活後のSADSはメタリックでテクニカル。今年いっぱいでそれも活動停止らしいですが、今のSADSで『THE ROSE GOD GAVE ME』をまるまる再録してくれないかな・・・と。


この記事を書いた人


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プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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