『だるまちゃんとてんぐちゃん』  加古里子  福音館書店
だるまちゃんとてんぐちゃん
加古 里子
福音館書店
1967-11-20


  
   今年の5月に亡くなられた絵本作家、加古里子(かこさとし)さんの絵本です。
   今年の5月28日に、『だるまちゃんとかみなりちゃん』を考察しましたが、今回はてんぐちゃんとのやりとりの話です。
 表紙を見ると、てんぐちゃんとジャンケンしているだるまちゃんが描かれています。
 だるまちゃんは、負けてます(笑)
 この表紙でわかるように、だるまちゃんは、いつもてんぐちゃんに負けてばかりいます。



 てんぐのうちわをうらやましがるだるまちゃん。
 おなじものがないか、とおおきなだるまどんにおねだりします。
 すると おおきなだるまどんは、さまざまなうちわを出してきました。
 日本の国旗のついた扇もありますね。
 文字の着いたのや、中国風のもの。
 浮世絵の入ったうちわ……。
 全部で17種類はあるかもしれません。
 どこからそれだけのものを取り出したのか?
 右下の方を見ると、おかあさんだるまみたいなだるまさんが、まだまだたくさんうちわを持ってきています。
 だるまちゃん、もしかして、ものすごくお金持ち?



 人のものを見たら欲しくなるって、わたしもありますね。
 美しいイヤリングとか、しゃれた服とか見ると、
「どこで買ったの?」
 って聞きたくなる。
 家にはそんなもん、まったくないですから!
 だるまちゃんの家の豊富なうちわをみると、
「あれだけのうちわを、なんに使うんだろう?」
「お客さんがたくさん、来られるのかな?  
「趣味で集めてるのかしら?」
 さまざまな想像をかき立てられてしまいます。



 で、だるまちゃんは、やつでのはっぱを見つけました。
 それでてんぐちゃんは、
「ずいぶんいいもの 見つけたね」
 と言うのです。
 するとだるまちゃんは、

「うん。でも―――」
  よくよく観察すると、ほかにもいろいろ、自分にないものをてんぐちゃんに発見するだるまちゃん。
 ひとつで満足しないところが、上昇傾向があるというべきかも(爆)
 せっかくてんぐちゃんが褒めてくれてるのに、
「うん。でも―――」
 欲しいものがどんどん出てくるだるまちゃん。
 こうなってくると、てんぐちゃんはどうもイヤミなやつだという気がしてきます。持っている自分をさりげなく自慢している。でも、だるまちゃんは、それにめげずに、てんぐちゃんにふさわしい少年になろうとがんばってます。けなげです。
 物質が豊かになったこの頃。目指す方向がはっきりしていた時代の、ちょっとしたあこがれと努力が感じられる絵本でした。





 あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。



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