観てきましたよ。hideさんのドキュメンタリー映画『HURRY GO ROUND』。1998年5月2日に急逝したX JAPANのギタリストであるhideさんが生前に遺した曲『HURRY GO ROUND』の歌詞から、亡くなる直前のhideさんの状況を紐解いていく・・・という内容で、ナビゲーター役は、いま話題のドラマ『半分、青い。』にも出演している人気俳優の矢本悠馬さんです。






・覚悟しておくことが2つある。

この映画を観るに当たっては、たぶん、hideさんに詳しい方や、熱いファンの方ほど、疑問というか、モヤモヤしてしまうんじゃないかなあ、と・・・。あくまでも自分の感想ではありますが、注意というか覚悟して観た方が良い点が2つある、と感じました。


・1.矢本さんはhideファンじゃない。

まず、ひとつめ。あえてhideさんのことをよく知らない人物を抜擢した、とのことで、矢本さんは全くの初心者状態からhideさんの歴史に触れます。

普段の彼の音楽の好みも、おそらくだけど、ヴィジュアル系ともデジロックともかけ離れたものなんじゃないかなあ。hideさんの故郷である神奈川県横須賀市を訪れたり、大量に手渡された生前のオフショットなどを視ながら勉強していくのですが、多くの感想が、hideさんの外見の奇抜さとか、気さくでイタズラ好きな印象とかなので。昔からのファンなら、「そんなこと知ってるよ」と、じれったく思えてしまうかもしれません。

矢本さんと自分とは割かし年齢が近く、自分も亡くなって随分と経ってからhideさんをちゃんと知った身なので、共鳴できる部分もあるかな?と考えていましたが、・・・ごめんなさい。そういう観点は途中から諦めました。といっても、これは彼を否定しているわけではありません。

hideさんの記憶といえば、ワイドショーで流れまくっていた築地本願寺の告別式の場面くらいしかない、という点は、自分も彼と同じ。あとは当時のヒットチャート番組『歌の大辞テン』で『ROCKET DIVE』のPVをちょっと見かけたくらい。

ただ、自分がhideさんについてググりまくったのに対して、彼は映像を延々と視て、印象を紙に書くという行為をします。アンタ俺より年下やしスマホ世代やろ?とツッコミたくなりますが、彼はあくまでもメモる。それに意味があるかないかは別として。なぜか和風の旅館で、煙草をぷかりと燻らせて。掛け布団1枚だけ敷いて畳の上で就寝。昭和の文豪かアンタは。

hideさんについての印象が「派手っすね」なのも、今さらそれ?というか、見慣れている側からすれば、その発想は逆になかったわ、という感覚。


でも多分、この反応こそが、ナビゲーターが矢本さんである意味なんじゃないかな。

ほとんどの日本人の大人はドラえもんのことを知っているし、タケコプターも知っているでしょう。今さら「22世紀の猫型ロボット!?」「頭に付けたら飛べる?すごい!」なんて思わないじゃないですか。でも、ドラえもんを初めて見た幼児や、あるいは日本のマンガを全く知らない外国の方なら、そんなふうに興奮するかもしれない。

元々のhideファンがナビゲーターだったら、もっとマニアックな話題になっているはずだし、「俺、このツアー行ったんすよ!電車で3時間かけて!」とか「バイトしまくってギター買って、でも打ち込みとかどう再現していいかわかんなくて・・・」とかの反応の方が、昔からのファンの方々から好感をもらえたかもしれません。


矢本さんは、最近hideさんに興味を持ち始めた無邪気な若者。そう俯瞰で観る必要がある。だから、おこがましいけど、友達を自分の趣味に引き込むように、心の中で「いやいや他にもこういうのがあってさ・・・」とか言いながら観るのがいいんじゃないかな、と、あくまで個人的には思いました。



・2.ハッピーエンドじゃないことがわかりきっている。

X JAPANのドキュメンタリー映画『We are X』は、ハッピーエンドが約束されていました。様々な苦悩があったけど、TOSHIさんは怪しい団体から逃げ出せてYOSHIKIさんと仲直りを果たせて、X JAPANは全世界デビューの夢を叶えたよ、という。そこに待っていたのは、お正月のテレビ番組でYOSHIKIさんが食べたチーズおかきが売り切れたり、TOSHIさんが関ジャニ∞のメンバーとガトーショコラを作ったりする楽しい未来。

でも、この『HURRY GO ROUND』に関しては、途切れてしまった未来に直面することがテーマです。hideさんはもう20年前にいなくなった、という、わかっているけど悲しい事実を、改めて認識する必要がある。

正直なところ、この映画の前半は、「事故か?」「自殺か?」と、さながら当時のワイドショーのように何度も蒸し返していて、矢本さんもそれにとらわれ過ぎじゃないか?と感じる点もあったのですが、実際にhideさんの死の直前に一緒にお酒を飲んでいた関係者の方々にお話を伺うことで、段々と結論へと向かっていきます。その結論は、hideファンの方々とそう変わらないものだと、自分は思います。






・『HURRY GO ROUND』がラストシングルなわけじゃない。

最後は、『HURRY GO ROUND』の未発表ボーカル音源で締めくくられます。後に発表されたものとは歌い回しが違い、弾き語りだからか声が温かく聞こえます。


今を待たずに
まわれHurry merry-go-round
生き溺れても
また春に会いましょう


「春に会いましょう」。この歌詞がどんな意味だろうが、次の年の春には、また新しいヒット曲を作って、ライブツアーもやって、MステやHEY×3に出演する予定だったはず。『HURRY GO ROUND』
の次のシングルも、その次のシングルも、カッコ良かったはず。




この記事を書いた人


henkou_ver

プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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