『セロ弾きのゴーシュ』  宮沢賢治 福音館創作童話シリーズ


 有名な、宮沢賢治のお話です。
 ストーリーは、みなさんご存じでしょう。
 いつも楽隊での落ちこぼれだったゴーシュが、自宅である水車小屋でセロを練習していたら、さまざまな動物たちが現れて、いろんな交渉をする。そのうち落ちこぼれだったゴーシュは、トップに躍り出る、というお話。
 セロが古い上に、ゴーシュの腕も悪いので、楽隊長はかれをよくいじめます。
 宮沢賢治の物語には、いじめがカラっと書いてあったりして、時代を感じさせますね。








 オーケストラというのは、合唱と同じで、一人でも違うことをすると、もう台無しです。
 ゴーシュは、練習しているんですが、なかなか上達しない。
 そこへ、半分熟したトマトを持って、猫が現れます。
 ゴーシュは、偉そうな口調で、猫に対応します。
 猫がまた、トボけてるんですね。
 いい味出してますわ。
 ゴーシュの育ててるトマトを、熟してないのに持ってくる。
 ゴーシュが怒るのも無理はない。








 全体的に力強い作品で、甘ったるさはほとんどありません。
『銀河鉄道の夜』みたいに、キラキラしてませんが、
 主人公が音楽に命をかけ、人生をかけ、必死になっている様子とか、
 動物たちがかれと交渉して、いろいろリクエストするとか、
 だれにもマネできない賢治ワールドが広がっていて、
 賢治の強さと優しさを感じます。







  ちなみにこの本は絵本です。
 なので、ゴーシュの絵も描いてあります。
 イメージ通りというわけではありませんが、なんというか、ヘタウマ? 味わいはしっかりありますね。
 
 わたしのお気に入りシーンは、野ねずみの親子が、ゴーシュに音楽をねだるシーン。
 子どもが病気で、ゴーシュの音楽を聴くと治るという。
 ははあ、これまでの猫だのかっこうだのは、治療のために来たのか、と得心がいきます。
 そして、なにより、ゴーシュ自身もまた、自分の音楽で癒やされる必要があったんだ、という暗示もあります(かっこうのシーンがそれですね)。







 やればできると楽隊長から最後に褒められるゴーシュですが、それにはさまざまな動物たちの協力がありました。見えないひとびとからの支えがあればこその芸術なのです。
 平凡な日常もまた、偉大なんだよってことでしょうね、きっと。

 あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。


スポンサーリンク