名探偵のコナンくんに教えてもらった、1987年のメジャーデビューから改名時期や活動休止を経て、現在もその名前で転がりつづけているロックバンド・ユニット・ソロプロジェクト・・・な、実に複雑な経緯を歩む、偉大なる「ZIGGY」について、後追いのクソガキが好き勝手に書くシリーズ5回め。




1回め→コナンに導かれた'80年代後半のせかい-ZIGGY全アルバム紹介Vol.1-

2回め→BADでカッチョいい歴史-ZIGGY全アルバム紹介Vol.2-

3回め→絶頂期から過渡期。でもここらへんからが好き。-ZIGGY全アルバム紹介Vol.3-

4回め→ユニットになって劇的に変化-ZIGGY全アルバム紹介Vol.4- 



・ヒット曲もマニアックなのもある完成形。一番おすすめ。『WHAT NEWS!?』
 
WHAT NEWS!?
ZIGGY
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1996-03-25


ユニット編成から、サポートメンバーだったJOEさんを正式メンバーに加えて、カメリアダイヤモンドのCMソングとなったシングル『Jealousy~ジェラシー~』が大ヒットし(『GLORIA』に次ぐ売り上げ)、先行シングル『STEP BY STEP』がアニメ化されたばかりの『名探偵コナン』の初代主題歌になり、珍しくコマーシャルな雰囲気を携えて、1996年のリリース。

とか偉そうに書きつつ、当時は小学生だった自分はよくわかっていなかったのですが、『GLORIA』は知らなかったけど『Jealousy~ジェラシー~』はなんとなく(曲名はわからなかったけど)知っていました。たぶん自分と同世代くらいだと、下手したらこちらや、コナンの『STEP BY STEP』の方が認知度が高いかも。何かと「あの頃のバンド特集」的な、バブル世代向けのテレビ番組などで『GLORIA』ばかり演奏していますが、ここらでアラサー向けに、この時代の曲をテレビとかでやってほしい。

アルバムの内容としては、ポップでキャッチーな『STEP BY STEP』『君をのせて』といったシングルや『心配無用』『Just another day』が立ち並ぶ前半と、ジャジーでちょっと'70年代歌謡曲みたいな『欲望という名のParadox』やアコースティックでコーラスワークが美しい『Silver&Gold』、7分を超える大曲『暗流』へと続く実験的な後半とで構成され、史上もっともバラエティーに富んだガッツリ仕様。でも『BLOND 007』みたいなチグハグな感じはせず、色んな方向性に手を出しつつもやりすぎずにカッチリとまとめた感じ。

『Jealousy~ジェラシー~』は、シングルバージョンでは元PERSONZの本田毅さんが「空間系」と呼ばれる幻想的なギターソロを弾いていますが、アルバムではICHIROという方が弾いていて、ハードな仕上がりに。個人的にはアルバムバージョンの方が尖っていて好きですが、シングルバージョンも雰囲気たっぷりで好きです。

前作『BLOND 007』あたりからですが、歌詞に諺が増えたり難解になったりしています。ボーカルの森重さんは早稲田大学文学部を卒業していて趣味が読書らしいので・・・。余談ですが聖飢魔Ⅱの方々もほぼ同時期に世を忍ぶ仮の姿で早稲田大学に通っていたそうです。

ラストの『暗流』は、栄枯盛衰について明るく悲しく歌い上げていらっしゃいます。


飲み干され 奪われた河底に
影のない 老婆がひとりきり
こっそりと笑うのさ 声も出さず
運命を飲み込んだ 小さな身体


・・・歌詞というか詩だよこれ・・・。ありありと情景が浮かんでくる。老婆はこちらを振り向くことはないのだろう。


あと、中盤の『Just another day』の歌詞も素晴らしい。折り畳み傘が探すのが気怠くて手ぶらで歩いて、天気予報どおりに雨が降って来て、信号に引っかかって濡れながら舌打ち。向かい側には傘を持った人たち。物語としてはこれだけだけど、2番の描写がせつなさに拍車をかけます。


生真面目に読まれた新聞が
屑かごのなかで愚痴零す
明日になれば気にも留めない
戯れ言達の声も枯れる



ZIGGY初心者には最もおすすめのアルバムです。そもそも、自分がここからZIGGYに入りましたし。勢いも大人っぽさも兼ね備えた内容。


・前作で頑張りすぎて引きこもり。『CRAWL』

CRAWL
ZIGGY
マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
1997-03-26


『WHAT NEWS!?』のほぼちょうど翌年のリリース。そして、明るい作風だった前作と対を成すかのように、暗鬱な内容です。このアルバムから、売り上げが10万枚を切るようになりました。

ZIGGYの歴史の中で最も暗く内省的。『Guilty Vanity』は終始ベースラインがゴリゴリ言っていて実に硬派なヘヴィロックですが、歌詞が難しすぎてさっぱり理解できない。『暗流』の栄枯盛衰みたいなものをよりリアルに表現したもの?


美しすぎる堕落の優美な溜息に 罪深き胸もわずかな迷い覚える
幾千万の悲劇の悲劇の手触りに慣れてく僕達は終末に流されてゆく


・・・これもう文学やろ。

こんな風に歌詞はどんどん難解で抽象的な方向になり、音楽的にはメタリックな匂いが強くなりました。実験的な印象はあまりありませんが、壮大な『刹那の住人』や後半のテンポアップが気持ちいい『彼女の美しき銃と僕の嘘』のようなカッコイイ曲もあります。

シングルの『Silent Eveを待ちながら』は売ることをして意識して作られた美しいメロディーのクリスマスソングですが、この作品の中じゃ浮いている・・・。そして、後年ご自身のトラウマになったというくらいに売れませんでした。確かに、賑やかな小室ファミリー全盛期に、この曲はヒットするには暗いというか内省的な感じはする。


一応メジャーデビュー10周年は、なんともせつない空気感に。ここでしばらく活動が途切れ、1998年はデビュー後はじめてリリースが何もない年となり、「KING OF GYPSYZ」という覆面バンドで水面下のライブ活動を経て、聖飢魔Ⅱ・・・じゃなかった、世紀末を迎えます。

この記事を書いた人

henkou_ver

プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

note-たまに短いエッセイ的な何かやら。
twitter-ただのオタクの戯言をたれながす。
プラネタりうむ-個人ブログ。テキトー。



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