ぷらすです。

ご存知、世界的アニメ監督の宮崎駿監督。
そんな宮崎さんのアニメを1作づつ語っていくこのシリーズ。
ただ、TV版も入れると作品が多すぎるので、宮崎さんの劇場作品に限定して語ります。
その第6弾となる今回は、ジブリ作品の中で僕が一番好きな『紅の豚』ですよー!

紅の豚(1992)




最初は15分の短編だった?


これまでは他のアニメーションスタジオ同様に一枚いくらの「出来高制」を採用していたジブリでしたが、「魔女の宅急便」の大ヒットを受けて宮崎さんは2つの提案をします。

1・スタッフの社員化及び固定給制度の導入。賃金倍増を目指す。
2・新人定期採用とその育成。

そのためには、1年一本ペースでの作品制作が必要ということで制作された1本目が、高畑勲監督の「おもいでぽろぽろ」で、宮崎さんは制作プロデューサーとしてこの作品に関わります。

そして、ほぼ同時進行で企画を進めることになったのが「紅の豚」でした。
しかし、ここまで劇場長編アニメを連続で作り続けてきた宮崎さんは、最初この作品を15分の短編として企画、それを受けて鈴木敏夫プロデューサーは日本航空での機内上映用作品として制作を開始します。

ところが、二人の話し合いで物語は15分から30分、一時間と伸びて、結局93分の長編劇場アニメとして制作することになったんだそうですよ。

製作陣はほぼ女性スタッフだった


とはいえ、ジブリのメインスタッフは全員「おもひでぽろぽろ」が終わったばかりでボロボロ。
そこで宮崎さんは、本作の重要な役職をほぼ女性スタッフで固めたのだそうです。
劇中、ポルコが愛艇の修理のために向かったミラノの工房ピッコロ社は、男が全員不況で出稼ぎに出ていた為、フィオや親戚の女性が総がかりで修理を行いますが、それは本作の製作状況そのままだったんですね。

二人の宮崎駿


こうして1992年7月18日に公開された本作は、『魔女の宅急便』に続いて劇場用アニメ映画の興行成績日本記録を更新する大ヒットとなるんですが、当の宮崎さんはといえば原作の載っている『雑想ノート』で
「あーいうことはやっちゃいけないっていうのは、終わった後の結論でございます」
「魔が差したんです……ああいうのは……」
と反省しきり。

『風の通る場所 ナウシカから千尋までの軌跡』では
「とんでもなくくだらないものを作ってしまったって(笑)」
「ほんとにやっちゃいけないことをやってしまったなっていう想いがずーっとありました」

と散々。

どういうことかと言うと、
「ヤバイことやってしまったっていう想いはほんっとに、自分の中に残りましたね。いや、嫌いかって言われたらね、嫌いじゃないんですよ。嫌いじゃないけど、やっぱり子供の映画を作ろうって言ってきた人間ですからね(笑)」
なんだそうです。

宮崎さん著作の書籍や本作、さらにジブリ以前の作品を観れば明らかですが、宮崎駿という人は相当なミリオタです。
それも、最新式のジェット機や戦車ではなく、プロペラ機や飛行艇、リベットだらけの戦車など第一次世界大戦前後の兵器が大好きなんですね。

その一方で、徹底した反戦主義者であり、ジブリ以降、「アニメは子供のためのもの」という信念を持ってきた宮崎さん。

「となりのトトロ」の回で、『ジブリ=トトロというイメージがつきすぎてしまったことが、作家 宮崎駿を苦しめる事になっていく』と書きましたが、宮崎さんにとって本作は、自らに課したルールを破ってしまった作品なのです。

もちろん、ミリタリー趣味と反戦主義が相反するものではない事は、世の男子なら誰もが分かっているわけですが、その辺を割り切れないのが作家 宮崎駿の面倒くさいところなんですよねw

本作の時代背景


そんな本作は、1929年頃のイタリアが舞台。
当時のイタリアはムッソリーニ率いるファシスト党の独裁下になっています。
ヨーロッパへ波及する大恐慌や、秘密警察の暗躍などの不穏な足音など、当時の不穏な世相が、(ぼかされてはいるけど)本作に影を落としています。

また、本作制作時は湾岸戦争があり、世界が落ち着かなくなっていました。
宮崎さんは「ある種真っ正面からやるには時代が難しすぎて、ちょっと体をかわしたい」という思いで主人公に「豚」を選んだものの、不運にも作品の舞台アドリア海がユーゴスラビア紛争に巻き込まれ、“かわしきれなくなった”宮崎さんを苦しめる事になったのです。

まぁ、僕なんかそんな世界情勢を気にもとめずに、キャッキャ言いながら本作を喜んで観ていたんですけどね。

実際、飛行艇同士での空中戦や、修理を終えて新たなエンジンを積んだ愛艇サボイアを工房裏の運河から飛ばすシーン。
ポルコとジーナのロマンスや、フィオを巡ってライバル カーチスとの殴り合いなど、宮崎さんの大好きが詰まった本作は、彼のフィルモグラフィーの中でも1・2を争うくらい全てが生き生きと楽しそうに描かれていて、だから僕はこの作品が一番好きなんですよね。

ちなみに、劇中映るサボイアの新エンジンには「GHIBLI」(ジブリ)の刻印がされているそうです。
宮崎さん的にはちょっとした遊び心だったのかもですが、カーチスに一度はボロボロにされた愛艇が新エンジンを積んで以前よりもパワーアップすることに、宮崎さんのキャリアを重ねてしまうのは僕だけでしょうか?

というわけで今回は「紅の豚」について語ってみました!
次回は、『もののけ姫』を語りたいと思います。(´∀`)ノ

この記事を書いた人 青空ぷらす

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