『赤毛のアン』 ルーシィ・モンゴメリ 村岡花子訳
赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)
ルーシー・モード・モンゴメリ
新潮社
2008-02-26


  この話、高畑勲がアニメ化したので、
 原作(翻訳)を読んだことがなくても、知っている方は大勢いるはず。
 わたしは正直、アンのアニメは想像通りじゃなかったので
 家族は見て楽しんでいたようでしたが、
 見ませんでした。
 髪の毛を緑に染めて
 泣きふすシーンは見たかったかなと思ったりもしますが
 想像するだけで充分かもね。






  赤毛のアンの翻訳で有名になった村岡花子は、NHKの朝ドラになりました。
 『花子とアン』の主人公に採用されたのです。
 その番組の一エピソードで、いたずらっ子が花子をいじめるので、
 花子が自分の黒板をいたずらっ子に叩きつけるシーンがありましたが、
 それが髪の毛をいたずらっ子に嘲られたアン(これも黒板を叩きつける)を連想させて、
 オマージュってすてき、と感慨しきりでした。







 アンの魅力は、表現力や想像力が豊かでユーモラスで、ちっとも偉そうじゃないのに、
 ものすごく頭がよくて気立てがよくて、気の強い一面がある、というところ。
 赤毛とそばかすを気にするアンは、赤毛の人びとには勇気を与えたかもしれませんね。
 そして、この話の魅力は、主役だけでなく、脇役もかなり個性的な人びとばかりという点にあるかもしれませんね。




  主な登場人物をあげてみましょう。
 アンの髪の毛を「にんじん」とからかったギルバート。
 アンの「大親友」で、のちにワインを飲まされてぐでんぐでんになるダイアナ。
 なにかとおせっかいを焼きたがる、お局様的存在のリンド夫人。
 皮肉屋で厳しくて、心中ではアンを誇らしく思いながら、表現するのがへたなマリラ。
 なかでも重要人物なのは、引っ込み思案ではにかみ屋、ちょっとぼーっとしたところがあるのに、愛情がふかいマシューの存在でしょう。
 不器用に愛を傾けて、最後の方なんかマリラまでかれに影響されてアンにメロメロなんですよね。
 とってもいい人ですが、心臓が悪いんです。
 だから、ほんとはアンではなく、男の子がほしかった。
 家の畑を手伝ってくれる労働力として。
 だけど、アンは労働力ではなく、それ以上の存在として、カスバード家に迎えられるのでした。

  

  この本を読んでいると、ほんとうにこんな人たちが身近にいて、
 すぐそばで息づいているような気持ちになります。
 広島にも、リンド夫人みたいなひとがいたりしますからねえ。
 人物の描き方が、モンゴメリはとても上手です。
 それだけ、リキが入っているのですね。
 ストーリーの組み立ても、非常に魅力的です。
 特に、ダイアナやマリラやマシューとのからみは、今読んでも新鮮な驚きがあります。
 なんどかボツの憂き目にあいながらも、
 新進気鋭の作家として、百年経っても読み継がれている。
 そういう作家になれたら、どれだけいいでしょう!

 なかなか本が売れず、目の前のことしか見えてない出版社も多いなか、
 夢みたいなことを言い続けるわたしは、白昼夢を見ているのでしょうか。
 少しは現実を直視しなくちゃなー。

 あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。

 

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