ぷらすです。

ご存知、世界的アニメ監督の宮崎駿監督。
そんな宮崎さんのアニメを1作づつ語っていくこのシリーズ。
ただ、TV版も入れると作品が多すぎるので、宮崎さんの劇場作品に限定して語ります。
その第5弾となる今回は『魔女の宅急便』ですよー!

魔女の宅急便(1989)




ジブリ初、原作つきの作品


本作は角野栄子による同名の児童書を原作に、宮崎駿監督で劇場長編アニメとして制作された、ジブリ作品としては初めて原作つきの作品になります。
実はこの企画、ジブリ発の企画ではなくて映画プロダクション風土舎とスポンサーのヤマト運輸が、徳間書店に協力を申し込んだことでスタジオジブリが制作する事になったんですね。

風土舎は、「監督またはプロデューサーに宮崎駿か高畑勲を」と意向を示したものの、当時は「となりのトトロ」「火垂るの墓」の制作が始まったばかり。

鈴木敏夫プロデューサーが宮崎さんに相談すると、「今『トトロ』で忙しいから、鈴木さんが(原作を)読んでよ」と言われ、原作小説を読んだ鈴木さんは(ジブリ制作で映画化するには)難しい内容に頭を抱えるんですね。

そこで宮崎さんに「この作品は子供じゃなくて若い女性の話ではないか」と説明。

田舎から上京して、一人暮らしを始めた女の人の話で、適当にお金もあるし楽しいけど、一人アパートへ帰った時にふと訪れる寂しさみたいなものがある。そこを埋めれば映画になるのではないかと提案したところ、宮崎さんも興味を示したそうです。

とはいえ、トトロで手一杯の宮崎さんは当初プロデューサーのみを担当。
監督には「この世界の片隅に」の片渕須直、脚本は一色伸幸が担当。スタッフに近藤勝也、大塚伸治、大野広司などを起用しプロジェクトは進むものの、一色さんが書き上げたシナリオが作品の雰囲気にそぐわなかったため、「となりのトトロ」の作業を終えた宮崎さん(と鈴木プロデューサー)がシナリオを担当する事になります。

更に作業を進めるうち、当初80分程度の予定だった物語は、鈴木プロデューサーが「娯楽作品として物足りない」と(周囲の反対を押し切って)、当初は予定になかったキキがトンボを救うクライマックスを追加したことで100分を越える大作に。
作画ボリュームも増えたことから、当時まだ若手だった片渕須直さんから宮崎さんに監督を交代することになったんですね。(スポンサーの意向もあったようです)

そして長編アニメーション映画としてはただでさえ制作期間が短いのに加え、作画の困難な群集シーンが後半に多数挿入されたためスタッフの負担も大きくなり、高畑さんが音楽演出を担当するなどまさにジブリ総力戦となった本作は、劇場公開ギリギリで何とか完成したのだそうです。

そうして公開された本作はこれまでとは違って広告宣伝にも力を入れた結果、ジブリ作品として初の黒字作品となる大ヒットを記録します。
今でこそ絶大な人気の「となりのトトロ」や「天空の城ラピュタ」ですが、公開当初はそこまでヒットしなかったんですね。

原作との違い


本作の原作は1985年から2009年に渡り6巻が刊行され、2016年、17年にかけて2冊の特別編が刊行された長いシリーズです。
本作はその中の第1巻を脚色して映画化。

童話ならではのファンタジー性が濃い作風である原作に対し、宮崎さんは主人公キキの持つ魔女由来の飛行能力をあくまで「人が持つ特技の一種」として、少女が特技を活かして独り立ちをしていく現実的な視点に立った作風に改変しています。

原作の角野さんは、制作が進むに連れ大きく変わる内容に否定的になっていったそうですが、それを知った宮崎さんと鈴木プロデューサーは、すぐに角野さんのもとを訪れて変更意図を説明して解決したそうです。

キキとジジ問題


映画中盤、体調を崩したことをキッカケに、キキは黒猫のジジと話ができなくなります。
これは映画オリジナルの設定で、原作ではジジはキキのパートナーとして普通に話せるらしいですね。

この変更点の意図は明確で、キキが一人暮らしで色々な人に出会い成長していく過程で、無垢な少女期の終わりと大人への第一歩を踏み出していく。その象徴としてジジの言葉が分からなくなるという描写を入れたのです。

その後、魔女の力を取り戻してもキキはジジの言葉が分からないままなのは、新しい何かを手に入れる代わりに大事な何かを喪失する、その寂しさを受け入れる事が成長の為の通過儀礼だからです。

それは、本作を監督するにあたって宮崎さんが鈴木プロデューサーとの打ち合わせで、「少女の思春期」をテーマにする事を決めたという背景があります。
子供の世界から大人の世界の入口に入ったキキとジジは、それぞれ別の道を歩む事を受け入れ、二人で一つだった少女期からお互いが独り立ちした大人の関係を築いたわけですね。

そう考えると、この作品は一見ファンタジー色の強い子供向きな作品に見えて、実はジブリ映画の中でもかなり地に足のついた、大人な着地をしてる作品なのかもしれませんね。

全力投球ではなかった?


ほかの作品に比べ制作時間の短いなかで作り上げた本作ですから、当然ながら大変は大変だったに違いないんですが、当の宮崎さんはインタビューの中で「全力投球でなかった」という後ろめたさが残ったんだそうです。

そもそも、宮崎さんは「カリオストロ」「ナウシカ」「ラピュタ」「トトロ」の4作で、ある時期までやりたいと思っていたものに一応全部手を出したし、密かに「ここまでやれたらもういいや」という気持ちだったんだそうです。

しかも本作は自分発信の企画ではない、宮崎さんにしてみれば「このくらいの範囲でやればいいんだなっていうことを最初からわかってやってた」いわば職人・宮崎駿としての雇われ仕事だったんですね。
なのでベテランアニメーターとして、数々のテレビアニメを手がけてきた宮崎さんにしてみれば、前4作よりずっと、やりやすかったのかもしれません。

それでもここまでの作品にしてしまうのは、さすが宮崎さんというところだし、本作の成功でジブリは完全にブランド化して軌道に乗り、以降の「ジブリ快進撃」へと繋がっていくんですねー。


というわけで「魔女の宅急便」について語ってみました!
次回は、『紅の豚』を語りたいと思います。(´∀`)ノ

宮崎駿作品を語ってみる-1「ルパン三世カリオストロの城」(1979)

宮崎駿作品を語ってみる-2「風の谷のナウシカ」

宮崎駿作品を語ってみる-3「天空の城ラピュタ」(1986)

宮崎駿作品を語ってみる-4「となりのトトロ」(1988)

この記事を書いた人 青空ぷらす

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