ぷらすです。

ご存知、世界的アニメ監督の宮崎駿監督。
そんな宮崎さんのアニメを1作づつ語っていくこのシリーズ。
ただ、TV版も入れると作品が多すぎるので、宮崎さんの劇場作品に限定して語ります。
そして第4弾となる今回は『となりのトトロ』ですよー!

となりのトトロ(1988)



宮崎さんのジブリ作品としては2作目、監督した劇場アニメ作品としては4作目となる本作。
何度も再放送されてるので、日本テレビの「金曜ロードショー」で初めて観たという人も多いかもしれませんね。

また、公開時は、高畑勲監督の「火垂るの墓」と同時上映という事でも話題になりましたよね。
僕も公開時に劇場に観に行ったクチですが、順番的にトトロの後に火垂るの墓を観るのは辛い苦行でしたねー。
劇場に観に行った人は同じ経験をした人も多いんじゃないでしょうかw

企画は難航


「天空の城ラピュタ」の公開を終えた1986年に本作の企画書を徳間書店に提出した宮崎さん。しかし、舞台が昭和30年の田舎で物語もラピュタに比べるとスケールが小さい地味な内容。
さらに当初の予定では約60分程度の中編作品だったことから単独での全国公開は難しいと、制作会議での承認されなかったそうです。

そこで、高畑勲が検討していた「火垂るの墓」を同時上映する案が浮上。再度企画を提出するも、「オバケと墓の取り合わせはいかがなものか」と顰蹙を買って、企画自体が頓挫しそうになったところに、「火垂るの墓」の原作小説を刊行している新潮社が企画に賛同。
「火垂るの墓」の出資、製作にすることとなり、徳間書店と新潮社の共同プロジェクトとして中編2本体制でようやく企画が動き出したんだそうです。

しかし、高畑・宮崎両監督が一斉に作品を作り出すとなると、両監督の信頼に応えられる主要スタッフが限られているジブリだけに、壮絶なスタッフ争奪戦が繰り広げられたとかなんとかw

そして、絵コンテの段階で60分では収まらない事を悟った宮崎さん。高畑さんも同じだったことからご存知のように両作品とも約90分の長編になったんですね。

公開時の反響


こうして公開された本作ですが、観客動員数も配給収入も「風の谷のナウシカ」を大きく下回ってしまいます。
しかしキネマ旬報の「日本映画ベストテン」第1位を取るなど、各種日本映画関係の作品賞を獲得し、金曜ロードショーで放送されると毎回高視聴率を記録するなど、ジブリブランドの確立に大きく貢献します。

また、「黒澤明が選んだ100本の映画」にてアニメ作品で唯一選ばれ、ディズニーピクサーのジョン・ラセターに「僕の人生で最も好きな映画の1つ」と言わしめる、宮崎作品の中でも屈指の名作と言える一本ではないかと思います。

子供のための作品


本作の大きな特徴の一つは、宮崎駿監督の劇場長編作品で初めて「人が死ななかった」事じゃないでしょうか。
「カリオストロ」では伯爵、「ナウシカ」ではトルメキアの兵士たち、「ラピュタ」ではムスカや欲に駆られた政府軍の大人たちが、それぞれ悲惨な最後を遂げることになります。

しかし本作は、母の病気療養のために田舎の集落に引っ越してきた姉妹が、オバケ(森の精霊)であるトトロに出会うという物語の構造上、悪人が出てこないし誰も死なないんですよね。

これまで囚われのお姫様を救うヒーロー譚だったり、終末世界と再生の物語だったり、ボーイミーツガールの冒険譚と、「男子アニメーション」を作ってきた宮崎さんでしたが、この作品では(恐らく意識的に)ターゲットの年齢層を下げて男の子も女の子も楽しめる「子供のため」のアニメーションを作ったと思うんですよね。

キャスティング


もう一つの特徴は、声優ではない人間をキャスティングしたこと。
本作では、メイとサツキのお父さん役を糸井重里さんが演じていますよね。
糸井さんはもちろん声優ではなく、どころか役者ですらないんですが、ほぼ演技をしていない朴訥とした話し方は、大学の講師や翻訳を生業にするインテリの感じによく合っていたように個人的には思います。

前作「天空の城ラピュタ」ではムスカ役に俳優の寺田農を起用していますが、そこで何かしらの手応えを感じのでしょう。

いわゆる専業の声優を使わないことには賛否があるジブリ作品ですが、宮崎さんは声でキャラクターを演じる“声優芝居”より、演じる人の声から滲み出る本人の持つキャラクターと作品のキャラクターの親和性を活かすことで、格下扱いの「アニメ作品」の位置づけを、実写映画に負けない「映画」にしたかったんだと思います。(もちろん興行的な側面もあるでしょうけども)

日本人の原風景


本作で描かれる昭和30年代の田舎は、日本人が共通して持つ“原風景”でもあります。
たとえ都会に生まれ育った人でも、緑に溢れた山々や田園風景。今よりもずっと人の距離が近く繋がりの濃い関係性。そんな自然たっぷりの中でのびのびと駆け回る子供たちという風景を見れば「懐かしさ」を感じるのではないでしょうか。

同時に宮崎さんの年代のインテリ層にとって、自然との共生は「人間のあるべき姿」という共通の思想があるんですよね。
もちろん、全ての人がそれを出来るわけではない事は宮崎さん自身誰よりも解っていて、だから本作に描かれるのは「ユートピアとしての田舎」であり、宮崎さんにとっての憧憬でもあります。

劇中登場するサツキのクラスメイトのカンタは、そんな宮崎さん自身の憧れが投影されているキャラクターだし、子供たちを助け導くオバケのトトロは、アニメーター宮崎駿が「こういう存在でありたい」という願いが投影されたキャラクターと言えるでしょう。

今もなお日本アニメ史に残る不朽の名作だけど…


そんなこんなで、「となりのトトロ」は劇場公開から30年経った今もなお、日本アニメ史に残る不朽の名作として、大人から子供まで誰からも愛される宮崎駿の代表作の一つとなったわけですが、同時にジブリ=トトロというイメージがつきすぎてしまったことで、作家としての宮崎駿を苦しめる事になっていくんですよね。

その辺は次回以降で語れたらと思います。

というわけで、次回は「魔女の宅急便」について語りますよー!(´∀`)ノ

宮崎駿作品を語ってみる-1「ルパン三世カリオストロの城」(1979)

宮崎駿作品を語ってみる-2「風の谷のナウシカ」

宮崎駿作品を語ってみる-3「天空の城ラピュタ」(1986)


この記事を書いた人 青空ぷらす

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