『おおかみと7ひきのこやぎ』  グリム童話 小学館
 





 おなじみの話です。これもオオカミが悪辣なキャラクターのお話です。

 ストーリー展開は単純。純粋素朴なこやぎたちを、悪知恵のきくオオカミがだましてまるごと食べてしまうが、お母さんが助けてあげるのでした。

  ここでわたしはツッコみたい。
 こやぎの家に、なんでテーブルが必要なの。
 なんでベッドがいるの。
 なんで暖炉がいるの。
 なんで台所がいるの。
 なんで食器棚がいるの。
 なんでバケツがいるの。
 なんで大きな時計がいるの。

 よく考えるとやたらと人間に近いこやぎですねー。どういう生活してたんだろう。
 お母さんは、なにをしに町へ出かけたのでしょうねー。



 オオカミは、知らない人間のことを指していると思われますが、ひと昔まえの日本では、オオカミのような人間はほとんどいなかったように感じております。
 もちろん、妙な人間もいたけど、少数派。
 信用度は高く、仲もよくて、「個人情報保護法」なんてのもない時代でした。
 時代は変質していくんですね。
 うっかりこころを許したら、なにをされるかわからん時代になってしまったようです。


 このオオカミは、赤ずきんのオオカミと同じで、あまりの強欲のために相手を丸呑みして、そのまま寝てしまうというドジっぷり。
 それで済ませておけばいいのに、おかーさんやぎは、よく読むとものすごい残酷なシーンを繰り広げております。
   オオカミ、痛くなかったんでしょうか。麻酔でもされたのかな。
 時計のなかにかくれた末っ子のやぎは、これをみてなんとも言わないところも微妙です。
 悪い奴は、徹底してやっつけるという西洋式の考え方ですね。

 徹底しすぎると、かえって抵抗力がついたりするのが悪い奴の特徴でしてね。
 病院でも、抗生剤の効かない病気が蔓延して、患者が死んだりします。
 オオカミが満腹で寝ている、というのは、その意味ではのどかです。
 オオカミは、家がないのでしょうか。
 こやぎの家には、いっぱい家具があったのに、オオカミのまわりには野草しかありません。






 逆に見ると、ひじょうに寂しい状況です。
 孤独と飢えに苦しめられ、恵まれた環境の子にちょっかいを出す。
 なんだか、最近のテロリストを思い起こしてしまいますね。
 このオオカミは退治されましたが、最近のテロリストは退治されるどころか、どんどん数が増えているようで。
 こやぎを守るため、と称して、さまざまな武器が開発されていますが、
 抗生剤の効かない病気と同じで、根本的なところを治さないと、この病巣はなおらないかもしれません。


   あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。



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