『赤ずきん』  グリム童話 岩崎書店


 
 おなじみの話です。わたしが子どものころに、『赤ずきんってだめねー』と思ったことのあるお話です。

 ストーリー展開は単純。
 おばあさんにお見舞いに行くことになった赤ずきんちゃんが、途中で道草をしているうちに、おばあちゃんを食べちゃったオオカミに食べられそうになり、……あとは伏せておきましょう。
 赤ずきんは、まっすぐおばあさんをお見舞いに行けばいいのに、オオカミにだまされるなんて、わたしだったら道草なんかしないわ!
 とか思っていましたが、散歩の醍醐味って、道草ですよね(笑)





 俳句だって、寄り道をしたところの景色を句に詠んだりもします。
「くたびれて 宿かるころや 藤の花」
 芸術は、思わぬところに転がっていたりするんです。
 その神髄に触れるには、危険も伴うのです。

 この話は、おばあちゃんを見舞いに行く赤ずきんちゃんが主人公というより、
 彼女をつけねらうオオカミが主人公、という様相を呈している気がします。
 こいつは赤ずきんちゃんをすぐ殺さずに、じゅうぶんいたぶった末に、殺そうとするんだから悪い奴なんですが、わたしはこのオオカミ、ちょっと気の毒な面もあるかなと思えてなりません。

 ストーカーは、被害者と自分の感覚がちがう、という事実を知らないそうです。
 オオカミは、あきらかにストーカーをイメージできますね。価値観がぜんぜん違うのに自分で気づいていない、という点で。
 自分勝手で欲張りでしつこくて。
 しかも、狩人が助けてくれるエンディングだけでなく、もうひとり別なオオカミまであらわれるという。
 よくある民話の「繰り返し」のパターンですが、さすがに赤ずきんもおばあさんも学習して、オオカミの策略には引っかかりません。
 
 



 しかし、これであきらめるオオカミではない!
 さらにこの別のオオカミのとった手段とは?

  世の中を渡っていくことのおそろしさや、それに対抗するための知恵。
 助けてくれるひともいますし、自分で切り抜けることもある。
 あかずきんは、盛りだくさんの内容です。

 外国の話は、勧善懲悪ものがおおいですね。
 たいてい、悪役は死んでしまいます。
 日本昔話だったらどうでしょうか。
 さるかに合戦、カチカチ山……
 残酷話はいろいろありそうです。



 あなたも、たまには道草して、新しい視野を手に入れてはどうでしょう。
 オオカミに食われるかもですが、新たな発見や冒険があって、楽しいこと間違いなし!
 でも、車などにはじゅうぶん気をつけてくださいね。

  あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。

 

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