『ながいかみのラプンツェル』  グリム童話 福音館書店


 
 おなじみの話です。ディズニーでアニメにもなりました。
 ラプンツェルのおかーさんが、となりの魔女のレタス(ラプンツェル)を食べたいとだんなさんにねだったところから話がはじまります。
  それでだんなさんは、ちゃんと魔女から代価を払ってレタスを買ったかというとそうではなく、こっそり魔女の畑に押し入って、レタスを盗んでしまうんですね。
 だめじゃん、そんなことしちゃ。
 奥さんのわがままに悩まされる旦那さんって、今も昔もいたのですねえ。



 レタスを食べたがる奥さん、というのはまだマシですが、日本昔話では、
 海底の竜宮城にすむ竜王のお妃さまが、猿の肝を食べたい、と竜王にねだる話がありますね。
 竜王が困って、亀に「猿の肝をとってこい」と命じます。
 で、亀は猿に、「竜宮ではごちそうが待ってますよ」とだまくらかして、海底に連れて行きますが、門番をしているクラゲに、「ほんとは肝を食われるんだ」と教えられて、猿は、
「実は山に肝を干してきた」と嘘をついて窮地を脱します。






 こんな日本昔話とは違っていて、ラプンツェルは、生まれたばかりの女の子を魔女がかっさらって、塔のなかに閉じ込めてしまうのです。
 ラプンツェルは、やられっぱなしです。
 運命を受け入れているといえば聞こえはいいけど、おとなしすぎでは?
  塔のなかで扉もなく、高いところに窓一つ。
 女の子を監視し、支配したがる魔女という図式が見えてきます。

 自分の狭い世界こそがラプンツェルの世界であり、それ以外は認めない。
 自分はそこの女王で、ラプンツェルを思い通りにすると決めている魔女。
 どことなく、モンスターペアレントを思い起こします。
 自分の子どもが大事なあまり、学校を私物化したりしますよね。
 魔女はもしかしたらレタスを食べたがるお母さんの、もう一つの姿かもしれません。





 この話で面白いのは、たった一つの窓から長い金髪を垂らしたラプンツェルと、
 それをよじのぼっていく魔女や王子さまというストーリー展開でしょう。
 髪をひっぱってよじ登っていくわけですから、ラプンツェルはそうとう頭が痛かったでしょうけど、文句は一度しか言わないんですね。
 それも、ナイショにしていたはずのことをネタバレしちゃうんだから、ラプンツェルってアホだなと思っちゃいます。
 自分が虐待されてることを、自覚していないのでしょうか。
 ともあれ、紆余曲折のすえ、王子さまとラプンツェルは結ばれ、魔女は虐待の報いを受けてめでたしめでたし。
 ……レタス食べられてこのエンディング。魔女にちょっと同情です。


  あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。



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