今回紹介するのは『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』。2013年公開のアメリカ映画だ。監督・脚本はジム・ジャームッシュ。何世紀もの生き続ける吸血鬼カップルのラブストーリーだ。主役はトム・ヒドルストンとティルダ・スウィントンが演じた。



この映画はジム・ジャームッシュが7年間温めていた企画であり、前作から数えて4年ぶりの長編映画である。何世紀も生きながらえている吸血鬼が現代という世界でどう生き続けているのか、現代の人間たちをどう見ているのか、どんな会話や生活を楽しんでいるのか、そのあたりにジム・ジャームッシュ独特の遊び心が垣間見えてとても興味深い映画になっている。

『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』ってこんな感じ

吸血鬼のアダム(トム・ヒドルストン)はすっかり寂れたデトロイトで、ギターをはじめ、弦楽器なら何でも弾きこなすミュージシャンとして一切表には出ずにアンダーグラウンドで活躍している。しかし近年の人間たちの振る舞いに絶望感を感じ、自ら命を絶つ準備を始めていた。そんなとき、地球の裏側のモロッコ・タンジールで暮らす妻のイヴ(ティルダ・スウィントン)が、彼の異変を感じ取り、デトロイトを訪れる。何世紀にも渡って生きてきた2人の会話は尽きることがなく、ダンスをしたり、ドライブを楽しんだり、ゆったりとした時間を過ごす。


そこにイヴの妹、エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が現れる。もちろん彼女も吸血鬼だ。時代の流れに合わせて、人を殺めず医師に高額の賄賂を渡すことで血液を手に入れてきたアダムやイヴと違い、エヴァは欲望のままに、アダムの言葉を借りれば「15世紀ではないのに」人の首筋に歯を立てる。彼女の出現によって案の定トラブルが起こり、アダムはイヴに伴われてタンジールの街へ移動する。待っていたのは安穏とした日々ではなかった。

遊び心満載な小物やセリフ

この映画には、セットや小物、セリフなど、ジム・ジャームッシュならではの遊び心が随所にあふれている。例えば、アダムのギター1つにしても、とんでもない値段がするようなヴィンテージものや、ビザールと呼ばれる変わった形をしたものが出てくる。

イヴがデトロイトまで乗って来た飛行機は「リュミエール(リュミエール兄弟=映画の父)」航空。ジャック・ホワイトの生家の前でイヴが喜んだり、2人がドライブしている時に「モータウン博物館を眺めるか?」とアダムが尋ねるとイヴが「私はスタックス派(R&Bのレーベル)なの」と答えた時には小さくガッツポーズをした。私もスタックス派だからだ。

また、何世紀も生きている2人の会話にはモーツァルトやニコラ・テスラ、エディ・コクラン、など色んなジャンルの著名人と交流した話が出てくる。これがわかると面白さが倍増するので、ぜひどれだけの著名人や作品を認識できるかチャレンジしてほしい。私はそんなにわからず、くやしいので後から検索してから観なおした。

くすっと笑えるジム・ジャームッシュ作品

例えば初期のジム・ジャームッシュの映画が苦手な人でも、この映画であれば楽しんで観ることができると思う。シリアスそうに見えるが実際はコメディーだし、現代における吸血鬼を扱った映画でこれほど肩の力が抜けていて、ところどころでくすっと笑える映画はないと思う。また文中にも書いたが、アダムとイヴの会話に出てくる人や物事についての謎解きをするのも楽しい。ぜひ夜中にゆったりと楽しんでほしい映画だ。そうそう、音楽もとてもいいのでサウンドトラックを聴きながらお酒でも飲めば雰囲気が出る。

Ost: Only Lovers Left Alive
Original Soundtrack
Fklg
2014-04-08






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旅と音楽と本が好き。別名義でWebライターとして活動中。
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