『オニのサラリーマン』  富安陽子 福音館書店
 
  いま流行っているという、コミカルな絵本です。
 表紙には、髪の毛を七三にわけて髑髏柄のネクタイをしたスーツ姿の赤鬼。
 一枚めくると、
「わしオニでんねん、すんまへん。
 じごくつとめの サラリーマン。
 きょうもげんきで おはようさん」

 いきなり、関西弁のオニが、わし、イケてまっか? という顔で、こっちを見ている絵と、
 信じられないほど生活感の漂うオニのこころのセリフ。
  ヨシモトが好きな人には、たまらないお笑いセンス!
 のっけから、ぷっ! と吹き出してしまいます。



 だってそうでしょう?
 オニといえば、金棒を持ってひとを脅し、時には命を奪うコワい化物。
 なのに地獄でおつとめですか。サラリーマンですか。
 お子さんがいて、奥さんがいて、給料前なのでお土産を買ってあげられない。
 ああ、哀しき宮仕え。
 一度でも会社に勤めた経験のあるひとなら、だれでも思わず、共感しちゃう。
 なんでオニに共感するんだ!
 オニは退治するものだろう!
 というツッコミは、ナシにしましょう(笑)




  まあ、実際に、オニの子どもの学校の宿題が、
「なぜおにがしまの オニは、ももたろうに負けたか」
 だもんな。おとーさんオニはたまったもんじゃないでしょう(笑)

 オニの名前はオニガワラ ケン。
 じごくカンパニーの社長、えんま大王には頭があがらない。
 満員のバスでご出勤です。
 このバスの乗客である化物も、コワいんだけど、どこかほのぼのしています。
 オニガワラは、会社にやってきて、着替えをします。
 会社に来る間に同僚と仲間の近況を雑談したり、割り当てられた仕事をうらやましがったり。
 で、どんな仕事をオニガワラがやるかっていうと、





「血の池の監視」。
 プールの監視のいすに座って、いちいち亡者にお説教。
 亡者がキャーキャー言って水浴びをしたり、飛び込みしたり、岸に上がったり、ゴムボートを持ってきたり、もう、イメージぶっ壊れまくりの地獄図です。

  この話、作者が見た夢をそのまま書いた、という話を、ラジオでやっていました。
 夢の中の作者は、登場人物になりきったり、第三者になったりして、目覚めたらすぐメモするんだとか。
 ストーリー展開を夢からゲットすることが多いという話も聞きました。(いいなー)
 十歳のころから、ストーリーをつくっていたそうです。
 当時は、翻訳ものが多くて、和風ファンタジーが少なかったため、自分で作っちゃおうと思ったのが作家になるきっかけになったって。
 児童小説からライノベまで書けるっていうから、感覚がわかいんだな。
 みなさんも、哀愁ただようオニのサラリーマンの意外な生活をのぞき見てくださいな。


  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。

 

スポンサーリンク