前回に続き、LUNA SEAのオリジナルアルバムのニュートラル属性のもう1作、『A WILL』なのですが、本作は再結成の初のアルバムであり、前作との間隔が13年間も開いていることもあり、特殊です。「光属性」「闇属性」「ニュートラル」の属性分けについては、こちらをご参照いただけたらと思います。


・LUNA SEAのなかった10年間(自分語りでスマン)。


まず、LUNA SEAは2000年に、いったん終幕(解散)しました。その後はメンバー各自がソロ活動やユニット活動を行っており、今でも再結成が希望されるJUDY AND MARYや、ファンの念願が叶って再結成を果たしたTHE YELLOW MONKEY同様に、2000年代中盤にはもう「伝説のバンド」のように扱われていて、TSUTAYAなんかで配られていた冊子にはそれらの特集が組まれていたりしました。

もうプチ登校拒否児ではなくなり、高校は3年生の入試本番の直前にインフルエンザで強制休養になった以外は全日きちんと無遅刻無早退、晴れて大学に入って、今度はアニメオタクになろうとしていた頃(結局なれなかったけど。毎期アニメ番組をチェックして、そのうち数本を毎週きちんと録画して、グッズも買って、カフェに行って・・・、あの根気と財力は凄い。まあ・・・オタクの中でもディープな人ばかりが周りに集まっていたのもあるけど・・・)。

ヴィジュアル系は世代交代が始まり、シドやナイトメアなど、LUNA SEAのフォロワー世代のネオヴィジュアル系と呼ばれるジャンルが現れ、深夜アニメのタイアップ曲などもあったりしたので、自分もそちらになびくようになりました。そんな大学生活の終わり頃に、唐突に聞いたニュース。

2007年、LUNA SEA、一夜限りの再結成。

・・・まあ、卒業論文に追われていて行けませんでした。この時点では東京にも行ったことがなかったし、大規模なライブ会場にも行ったことがなく、なんとなく「自分にはまだ早い」とか言っているうちに就職活動やら何やらだったからなあ。現役の学生さんに自分が伝えたいメッセージは「できるだけ金つかえ!できるだけ遊べ!」です。でも、奨学金がないと学校そのものに入れない世知辛い現代だからなあ・・・なんともいえんな。



・LUNA SEAに初めて出会えた10年後(長いが自分語りさせてくれスマン)。

で、学校を卒業してからの自分は、それまでとは逆に、遊び人になっていました。ギャンブルは当時も今もしませんが、酒とタバコはめっちゃ増えた(※タバコは現在はやめましたが、当時は1日に1.5箱のペース)し、行きたいイベントには行くようになっていました。これは、最初に就職した会社というか部署が超ウエーイ系だった余波ですね。でも、もうあそこには二度と戻りたくねえ。

そんな中、2010年5月29日。バンド結成21周年の日。それまで動きのなかったLUNA SEAの公式サイトに突然「REBOOT」の文字が表示されました。数か月間、サイトの映像が少しずつ変わるという現象が起きましたが、特になんのニューストピックも書かれておらず。そして8月31日、記者会見が行われました。香港で。

なぜ国内でなく香港だったかというと、再結成とともに初のワールドツアーの発表も兼ねていたからです。そのワールドツアーの千秋楽が、12月24・25日の東京ドーム公演とのこと。もちろん、財力もアクティビティも手にした自分は速攻でチケットを予約しましたよ。24日のほうに行きました。会場で配られたカードは今も名刺ケースに入れています。




・あの殴り書きから約20年・・・。新しい「遺書」『A WILL』

配信限定の楽曲『Promise』、約23分の大作シングル『ONE-crash to create-』を経て、さらに先行シングル3枚を発表した後に満を持してリリースされた、復活第1弾のオリジナルアルバム『A WILL』です。

タイトルの「WILL」はもちろん未来形の「~であるだろう」という意味合いもありますが、名詞では「意志」という意味もあり、また「遺書」という意味もあるそうです。ここでは頭に「A」が付いているので名詞ですね。復活第1弾が「遺書」というひねくれ方をしていた方がカッコイイので(※あくまで個人的な価値観)、「遺書」だと捉えています。どうでもいい話ですが、自分はダウンタウンの松本人志さんのエッセイ『遺書』をなぜか2冊もっています。


ROSIER
Universal Music LLC
2006-10-25


LUNA SEAで「遺書」といえば、まず思い浮かぶ名曲が『ROSIER』。同曲の中盤にある英詩は、ベースのJさんが失踪してホームレス生活を送っていた頃に、気持ちが錯乱していた頃に書かれた「遺書」。



Nothig starts

Nothing ends in this city

Exists only sever lonesome and cruel reality

But still I search for light

I am the trigger

I choose my final way

Whether I bloom or fall,is up to me

(この街には始まりも終わりもない

ただただ虚しく残酷な現実があるだけ

でも俺は光を探している

俺は銃の引き金みたいなもの

自分の最期は自分で決める

咲いても散っても俺なのだから)


この部分の意訳には諸説あり、これも自分が勝手に訳した内容ですが、Jさんご本人が「自分で辞書を引いて、自分なりの訳を見つけてほしい」とおっしゃっています。このあたりはインタビュー本(というか、タメ口文体のエッセイ)『WAKE UP! MOTHER FUCKER-今夜、世界ヲ焼キ尽クセ!!-』(なんつータイトルだ)に詳しいです。





「俺は銃の引き金みたいなもの 自分の最期は自分で決める」・・・破れかぶれな状態の中で、それでも光を探していると。きっとこの「遺書」は、夜中のトンネルの壁に殴り書いたものなのだと思います。気づかない人は気づかずに素通りする。でもトンネルの歩道で喚いている。そんな荒くれた世界。

では、それから20年ほど経った「遺書」の書き出しは、いったいどのようなものなのでしょうか。1曲めのタイトルは『Anthem of Light』。「光の讃美歌」・・・?そうです、光はもうとっくに見つけたのです。なんせ、終幕した理由が「これ以上は輝けなくなったから」なので・・・。


大切に 離さぬように 明日を抱きしめてた
どこまでも 行けると知って 自分を愛せたんだ



・・・あの頃のズタボロな感情は消えたようです。幸せそうで何より。別に「遺書」って世を憂いて自殺する時にだけ書くもんでもないですからね。幸せな時間を綴って記録し感謝を告げる「遺書」だってある。このアルバムは、そういうポジティビティー溢れる「遺書」。



・月は姿を変え、「キミ」は「君」になった。

光への感謝を告げてからは、いつもの王道LUNA SEAです。何気に初の両A面シングルだった『Rouge』と『The End of The Dream』はスリリングな展開と、今でもこちらを睨みつけてくるRYUICHIさんの眉間のシワが浮かんでいそうな迫力あるボーカルが楽しめます。やっぱりLUNA SEAのRYUICHIさんは、こちらを睨みつけてくれてこそ魅力的。

先行シングルでドラマの主題歌にもなった『乱』は、どのセンテンスを切り取っても見事に中二病とし
かいえない(これは絶賛の言葉)歌詞が素晴らしく、アルバムバージョンはドラムロールが追加されていて、これがまた美味しくてお腹いっぱいです。

『MARIA』はシングルカットしても行けそう・・・、というか、『乱』よりもよっぽどドラマに向いているように思うポップソング。浮遊感が心地良いです。再結成後に初めて披露された新曲。その新曲披露をリアルタイムで観られた感激は今も憶えています。サンタさんの帽子がメンバーで最も似合っていた真矢さんの笑顔も。

へヴィチューンの『Glowing』や、ありそうでなかったダーティーチューン『Metamorphose』と、妖艶な部分も健在。そして、再結成後の東京ドーム公演2日めでは『Days of Repetition』という仮タイトルで披露された新曲の完成形『銀ノ月』は、珍しくストーリー仕立て(ここまで明確にストーリー仕立ての歌詞は、もしかして初めてかも)の歌詞で、アイドルの枕営業の暗喩だとかいう噂もあったのですが・・・、実際どうなんだろ。真実は月だけが知っている。ここから王道ポップチューン『Thoughts』という流れが素敵。自分の中で「ラストの1個まえが速い曲のアルバムはかっこいい」という定説があるのです。

最後は、ゆったりとしたグルーヴに癒されるバラード『Grace』ですが、それまでのアルバムのラスト曲にあったようなスケールの大きさはなく、あくまで親しい人に向けたかのようなフツーのラブソングです。が、なぜかそれが安心します。

そして、何気に最新作『LUV』へ最も直接的に繋がっているのでは、という気がします。もう、難しい英単語を並べたりしない。宇宙とかもあんまり言わなくなった。それは隣に君がいるおかげ。そういえば、LUNA SEAの歌詞内の2人称の表記はほとんどが「キミ」とカタカナだったのですが、このアルバムの曲に関しては「君」になっているのです。実態のある存在になった。なんかこのへんが『LUV』の鍵のような気がする。というわけで次回は、・・・LUNA SEAのベストアルバムについてです。『LUV』への道のりは遠い。

この記事を書いた人

プラーナ

henkou_ver

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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