ぷらすです。
来る3月1日(木)、みんな大好きギレルモ・デル・トロ監督最新作『シェイプ・オブ・ウォーター』が公開されます。
この作品、アカデミー賞を始め、数々の映画賞にノミネート・受賞している超話題作なんですね。
というわけで、今回は「シェイプ・オブ・ウォーター」公開に向けて、ギレルモ・デル・トロが監督した、全作品を振り返ってみようと思いますよー!(´∀`)ノ



今春公開の超話題作『シェイプ・オブ・ウォーター』について


この作品の内容を超ざっくり言えと、ユニバーサルの古典怪奇映画「アマゾンの半漁人」を、童話「人魚姫」をベースにデル・トロ監督が現代風に再解釈した異色のラブストーリーだそうです。

デル・トロ監督に馴染みのない人は「なんだゲテモノ映画か」と思うかもですし、よく知る人は「あぁ、いつものヤツか」と思うかもしれません。しかし、この作品はなんと、
第74回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で上映され、金獅子賞を受賞
第75回 ゴールデングローブ賞では4部門ノミネート、2部門を受賞
第90回 アカデミー賞では、7部門ノミネートと、映画界の名だたる賞レースで高い評価を得ている作品なのです。

ギレルモ・デル・トロとは


ギレルモ・デル・トロ監督は現在54歳、メキシコ出身の映画監督です。
SF・ファンタジー・日本のマンガ・アニメ・特撮などに詳しい、いわゆる超のつくオタクで、メキシコの映画学校を卒業後、特殊メイクの第一人者だったディック・スミスに師事。後に自ら特殊メイク・造形のスタジオを立ち上げ、29歳からは映画監督にも乗り出すんですね。

というわけで、ここから年代順に彼の監督作品をご紹介していきますよー。

クロノス(ビデオタイトルは「クロノス/寄生吸血蟲」)(1992)




デル・トロがメキシコ時代に初監督した作品で、生ける機械によって吸血鬼となってしまった老人の姿を描くダーク・ファンタジー。
中世の錬金術師が作った不老不死の機械を、それとは知らずに触れてしまった古物商の老人。
しかし、その機械は人を吸血鬼へと変える恐ろしいモノだった。っていう設定は、若干「ジョジョ」っぽいですが、期せずして怪物になってしまった老人が、不老不死を願う大富豪に狙われたり、吸血鬼と人間の狭間で葛藤するというドラマで、低予算作品ながら今に続くデル・トロ監督の全てが詰まった秀作です。

ミミック(1997)





デル・トロ監督のハリウッドデビュー作。
「ストリックラー病」と呼ばれる死の伝染病が蔓延した近未来のニューヨーク。
その病原菌の媒介源となっているG(のつく虫)を殺すため、昆虫学者スーザンは遺伝子操作で「ユダの血統」という新種の虫を作り出すのだが……。というSFホラーです。

この作品は話題となり、監督を変えて2本の続編が作られました。

デビルズ・バックボーン(2001)




スペイン内戦の孤児院を舞台に、夜ごとに出没する少年の霊に悩まされる主人公と、孤児院に隠された秘密を描くミステリーホラー映画です。
予てからスペイン内戦を題材にした映画を作りたいと思っていたデル・トロ監督。
「ミミック」でプロデューサーと対立しハリウッドに失望していた彼に、スペインのプロデューサー、ペドロ・アルモドバルが声をかけたことで、この作品が作られました。

恐ろしくも美しく、残酷だけど切ないストーリーで、スペイン内戦によって理不尽な目に合う子供が主人公という点では、後に監督する「パンズ・ラビリンス」の原型とも言える物語じゃないかと思います。

ブレイド2(2002)




マーベルの人気コミック「ブレイド」実写作品の第二弾。

ヴァンパイアハンターの主人公ブレイドが、人間もヴァンパイアも見境なく襲う死神族リーパーズを倒すため、ヴァンパイアと一時的に協力するという内容で、デル・トロはこの作品を職人的に監督し結果を出したことで、ハリウッドに復帰したようです。

ヘルボーイ(2004)




アメコミの人気アーティスト、マイク・ミニョーラ原作の同名コミックを実写映画化した作品。
第二次世界大戦中、ナチスによって地獄から召喚された魔王の子ヘルボーイが、米国の超常現象調査防衛局(BRPD)のエージェントとして仲間と共に化物・妖怪退治をするという、日本で言えば「ゲゲゲの鬼太郎」に近い物語です。

アメコミ映画としては低予算ながら、デル・トロの“大好き”が詰まった作品で、彼がノリノリで作っているのが伝わって来る映画です。

パンズ・ラビリンス(2006)




内戦後、独裁政権下のスペインに生きる薄幸の少女を描くダーク・ファンタジーで「デビルズ・バックボーン」と対になる作品。
独裁政権下のスペインで、ファシズムという厳しい現実から逃れるため、架空の世界に入り込む少女を通じて人間性の本質に鋭く切り込む。という内容で、第79回アカデミー賞で撮影・美術・メイクアップの3部門を受賞した、デル・トロ監督の代表作です。

悲しく残酷な少女の運命を、美しい映像と多彩なイマジネーションで描き出したデル・トロの真骨頂とも言える作品ですよ。

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー(2008)




前作のヒットで制作されたシリーズ第2弾。
予算も規模も大幅にアップしたこの作品では、デル・トロ監督のキャリアと技術とイマジネーションを総動員。
異形の者と人間という関係性を更に深く掘り下げた作品となっています。
それでいて、前作同様ヘルボーイを始めとしたメインキャストの関係性も楽しく、アクションや映像も素晴らしい一級品のエンターテイメントになっているんですねー。

パシフィック・リム(2013)




怪獣と巨大ロボットが戦うという少年の夢を、ハリウッドの大予算とデル・トロの経験・技術で作り上げてくれた作品。
日本では何度も映画館に足を運ぶ“リピーター”が続出、公開時は「パシフィック・リム祭り」となりました。この作品でギレルモ・デル・トロの名前を知ったファンも多いかもしれませんね。

彼の脳内には「ファンタジー大好きなロマンチストのデル・トロ」と「SFや日本の怪獣特撮やロボットアニメが大好きな小五脳のデル・トロ」が共存していて、本作は明らかに後者に振り切った作品です。

クリムゾン・ピーク(2015)




『パシフィック・リム』の製作で、レジェンダリー・ピクチャーズのトーマス・タル、ジョン・ジャッシニと良好な関係を築いたデル・トロがプレゼンした、予てから温めていた3本の企画(他2本は「狂気の山脈にて」「モンテ・クリスト伯」)から選ばれ、製作されたのがこの作品です。

いわゆる、ロマンス・ゴシック・ホラーで、20世紀初頭を舞台にイギリスの没落貴族と物書きを目指す女性の恋愛物語を、古びた洋館や家族の因縁などの古典的なモチーフとストーリーを通して、現代的なテーマを描いた妖しくも美しい作品です。

まとめ


同年代の映画監督と比べると寡作なデル・トロ監督。(テレビドラマの監督やプロデュースはしてますが)
しかし、それは彼の作品への強いこだわり故に企画が途中で頓挫するという背景があったりするようです。(「ホビット」2部作の監督も降ろされたり)

その作品群から、ある種キワモノ映画の監督的な印象を持たれる方もいるかもしれませんが、彼は、自身の趣味趣向と深い人間ドラマやテーマ性、エンターテイメントと芸術を、見事なバランス感覚でミックスして描く、稀有な才能を持つ監督でもあります。

そして、これから公開の『シェイプ・オブ・ウォーター』でも、半魚人と言葉が話せない中年女性のラブロマンスを寓話的に描きながら、トランプ政権を始めとした排他的な世界情勢の中で翻弄されるマイノリティーの「今」を描き、世界的評価を得たんだそうです。

恐らくはアカデミー賞も受賞するだろう、ギレルモ・デル・トロの最新作。

是非、劇場でご覧下さい!!


この記事を書いた人 青空ぷらす

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