若草物語
 「若草物語」オルコット作、中山知子訳(講談社 青い鳥文庫)

若草物語 (新装版) (講談社青い鳥文庫)
ルイザ・メイ・オルコット
講談社
2009-03-14



  児童文学です。
 絵本ばかりでなく、たまにはこういう話もアリでしょう。
 小学6年ぐらいまでが対象。
 冒頭は、こんなのです。

  「なにがクリスマスよ。プレゼントなしのクリスマスだなんて」
 じゅうたんの上に寝そべりながら、ジョーが文句をいった。
「貧乏って、つらいわね」
 着古した服のひざに目を落として、メグがため息をついた。
「世の中は不公平だわ。きれいなものを、たくさん持ってる女の子もいるの
に、わたくしたちには、なんにもないんですもの」
 末っ子のエイミーが、鼻をならした。
 すると、部屋のすみから、しあわせそうなベスの声がした。
「でも、わたしたちには、お父さまもお母さまもいらっしゃるわ。それに、こ
うして、みんな、姉妹もいるわ」
 その言葉で、少女たちの顔は、ほっと明るくなった。けれど、ジョーが、ま
た、悲しそうに、
「だって、お父さまはうちにいらっしゃらないじゃないの。とうぶん、お帰り
になりゃしないわ」
 といったので、みんなだまりこんでしまった。
 父のマーチ氏は、遠い戦地にいるのだ。いつまで戦争はつづくのだろう。そ
れを思うと、心が暗くなる。





 見事にキャラクターを描きわけ、しかも端的に四姉妹の置かれた立場や経済
状況などがわかるのです。
 これは、なかなかマネできないスキルの高さですね!
 今後この四姉妹がどうなるのか、だれだって気になってくるし、戦争という
つらい状況に立たされた一家が、平凡な生活のなか、どうやって生きていくか
という話は、身近な問題としてもとらえられます。
 女の子は男の子を家庭で支えろというのは、ちょっと価値観ふるいかも。と
いうフェミニストのご意見もございます。





 とはいえ、このオルコット夫人の見事な筆づかいにより、特にジョーの活き
活きとした活躍ぶりが目を引きますね。
 自分がモデルだから、当然なのでしょう。戦地にいる父のために、自慢の髪
の毛を切ってしまうあたりもすごい。こんな美点を持ち合わせていながら、乱
暴でがさつという欠点も、余すところなく描き出す。自分への客観的な視点が
印象的です。



 わたしの注目は、四姉妹のうちの母親です。
 マーチ夫人としか書いていないんですが、このひとの影響力は、はんぱない
ですね。なにが本当に子どものためになるか、いつも真剣に考えている。
 子どもたちが怠けたいといえば、一週間怠けさせて、自分も一切家事を放棄
したりする。
 貧しい子どもたちのためには、自分がおなかを減らしていても、食事を分け
たりする。
 立派すぎてマネできない(汗)
 このひとほんとに人間なのだろうか。欠点らしい欠点が見あたらないのが気
になります。
 



 
 あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。
 
 
 

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