大友克洋の「童夢」は1983年に単行本で出版された。第4回の日本SF大賞と第15回の星雲賞(コミック部門)を受賞している。特に日本SF大賞をとったときは驚いた。海外でいえばヒューゴー賞とネビュラ賞を同時に受賞する「ダブル・クラウン」みたいなものだ。



「童夢」の破壊力

1970年代、少女マンガというカテゴリーでは、早々と手塚治虫など偉大な巨匠の呪縛から逃れた作品が次々と発表されていた。少年誌で完全に抜けたのがこれだと思っている。もちろん、他にもさまざまな作品があったし、多くのマンガ家たちがいた。それなりの路線があったけれど、このマンガの突き抜け方は当時、尋常ではなかった。

「童夢」を読んだのは、実は最初立ち読みだった。ハッキリと覚えている。いつも行ってた隣町の本屋で、半分壁にもたれながらむさぼりつくようにページをめくった。それまでにも大友克洋のマンガは読んでいたけれど、これは「違う!」と思った。マンガという表現に、新しい波がやってきたのを実感した。





「AKIRA」と「童夢」

「AKIRA」は週刊ヤングマガジン(ヤンマガ)をリアルタイムで読んでいた。まあ、よく休載していたけれどね。もちろん、映画も観た。当然、映画館で。これ、原作の連載中に公開された。だから、原作のマンガと映画ではストーリーどころか、最も重要な部分のキャラクター設定が異なっている。

「AKIRA」は「童夢」の延長上にある作品だ。作品が描いている世界の規模や、絵の作り込み方は「AKIRA」の方がひとつ上だろう。場所が団地と近未来都市では違いすぎて当たり前なんだけどね。でも、衝撃を受けたという点では個人的に「童夢」の方が愛おしいマンガだ。




物語の締めくくりが「童夢」の方がいい。最後の1ページで、これまで拡大された物語がある一点に収束していく感じがする。「AKIRA」は連載中から結末がどうなるんだろうって思ってたせいもあるけれど、どうもあの終わり方が気に入らない。あれだけ破壊していて、未来を建設的な方向にするのはなんか今までのベクトルと食い違ってるようで、ラストに至る数ページで物語の矢印が放散してるように思えたんだよね。

「AKIRA」も好きだけれど、それ以上に「童夢」は自分にとって特別なマンガのひとつだ。


※動画は、ひさしぶりに大友克洋がアニメに参加した「SHORTPEACE」。タイトルは大友克洋の初作品集「ショート・ピース」から取られている。大友克洋が絡んだアニメ作品としては「老人Z」が大好物だ。江口寿史とコンビを組んで、音楽は元・チャクラの板倉文。素晴らしすぎ。サントラも買ってしまったもんな。





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yosh.ash

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