始めて出会ったポール・オースターの小説は「鍵のかかった部屋」だったと思う。記憶に自信はない。それから、ニューヨーク三部作の「幽霊たち」「シティ・オヴ・グラス」を読んだ。そして、「孤独の発明」と「最後の物たちの国で」。で、このなかで一番「ふむ……気に入った」と思ったのが「最後の物たちの国で」(白水社)だった。決して読んだ後に、もしくは読んでる最中にHAPPYにはなれなれない小説だけれどね。






ポール・オースターの著作

手元にある本を並べてみる。文庫本が刊行されているものは文庫本で。

  • 「孤独の発明」(新潮文庫)
  • 「シティ・オヴ・グラス」(角川文庫)
  • 「幽霊たち」(新潮文庫)
  • 「鍵のかかった部屋」(白水Uブックス)
  • 「最後の物たちの国で」(白水Uブックス)
  • 「ムーン・パレス」(新潮文庫)
  • 「偶然の音楽」(新潮文庫)
  • 「リヴァイアサン」(新潮文庫)
  • 「ミスター・ヴァーティゴ」(新潮文庫)
  • 「ティンブクトゥ」(新潮文庫)
  • 「幻影の書」(新潮文庫)
  • 「オラクル・ナイト」(新潮文庫)

「シティ・オヴ・グラス」は柴田元幸、翻訳の「ガラスの街」もある。角川文庫版を読んだときはそれほど良い小説とは思えなかった。エッセーや詩集、映画関連の本は省いてある。「空腹の技法」はとても興味深いエッセイ&インタビューだった。ハーヴェイ・カイテルとウィリアム・ハートが出演した「スモーク」は名作だと思う。

2012年以降に日本で発売された「ブルックリン・フォリーズ」「写字室の旅」「闇の中の男」は買っていない。たぶん、文庫化されたら手に入れると思う。ポール・オースターは2017年に新刊「4 3 2 1」を発表したみたいだ。YouTubeにのインタビューがいくつかアップされている。

ポール・オースターの分析

「ポール・オースター 現代作家ガイド」(彩流社)。オースターのガイド本だ。入門書としても研究本として役立つ。増補改訂版が発売されている。

ざっくりと、ポール・オースターという作家を分類すれば、ポストモダン文学の生き残りって感じになるんだろう。トマス・ピンチョンの「重力の虹」が発表されたのが1973年。アメリカでのポストモダン文学はこのあたりの時代がピークだった。




個人的な話。

著作の一覧を眺めていて気付くのが、おそらく初期の方が好きってことだ。きっと「小さな物語」を好むんだろうな。そんなふうに自分で思う。映画でも小説でも美術でも、「これ、いいな」と感じるすべてのものに共通するのは「大きな物語」ではないことだ。

「小さな物語」と「大きな物語」のちがいを誰か他人に説明するのはとても難しい。おそらく見た目として登場人物や場面の数なんかで判断できるような気もするけれど、きっと、それだけではない。自分のなかでそれとは別の基準があって、それによって判別してる。そんな気がするんだ。どうもうまく伝える言葉が見つからないけどね。

もう少しだけ補足。

「大きな物語」というのは蔑視の意味が含まれてる。付け加えるとすれば「大きいけれどうわべだけの物語」だ。

現代の日本語をあやつってる人が共通してもってる決めごとのような「言葉」や「文章」だけで、上澄み液だけを綴った作品は苦手だ。体が拒否反応を示す。そんなものには魅力というか、刺激を感じない。たしかに読むのは楽だし、安心できる。けれど、そんなものは特に読まなくても困らないし、自分の脳みそに入れるのは時間の無駄に思える……ことが多い。

微細な部分にこそ、壮大な物語が潜んでいる。

なんか、近いニュアンスだけど、微妙にちがうような気もする。そんな気がしてきた。まあ、とにかくシンプルなものやこぢんまりしたものが自分の皮膚にしっくりとくるんだろうな。ポール・オースターの小説を、ポール・オースターを思い巡らしているといろいろなことを考えてしまう。ポール・オースターってBTB溶液みたいだ。


この記事を書いた人

yosh.ash

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