『ふうたのゆきまつり』  あまんきみこ あかね書店




 この話には、狐が出てきます。かわいい男の子の狐で、ちょっと天然ぼけです。
 この子に絡んでくるのが、タクシーの運転手の、まついさんです。
 雪の道を急いで帰るときに、狐に出会うのです。




 野生動物と車が衝突して、動物が死んじゃうってことはよくあることです。
 なので、事故になった、と書いてあるのを見て、童話なのにだいじょうぶかなと心配になったりもしましたが、だいじょうぶ。
 狐は、気絶しているだけでした。
 しかも、寝ぼけたことを口走るんです。
 このセリフが笑えてくる。ほのぼのしちゃいますね。
 ここから、まついさんと狐の男の子のこころの交流が始まります。




 タクシーの運転手って、孤独な職業なんでしょうね。
 客を乗せても、降りたらそれっきりだ。
 会話を楽しむのも、一時的なものだし。
 だから、狐の男の子をタクシーに乗せることにしたのも、さびしかったからだろうなって勝手に思ったりもします。
 狐の男の子は、人間になって、雪のかまくらへお邪魔したいそうです。
 で、おじいちゃんから教わったのに、変身の術をすっかり忘れちゃってる。
 まぬけな狐です(笑)
 まついさんといっしょに、変身の術のおさらいをするところが、とてもこころが暖まります。
 まついさんも、優しいひとですね。
 狐の男の子の変身につきあったりして。
 狐がものを言ってるのに、驚いたりしない。
 挿絵も、昭和風でかわいい。



 
 季節は冬。凍えつくような、東北の道を、ひたすら走るタクシー。
 そして、目的のかまくらの前で、ずっとぼーっと立ってる男の子。
 とことん、まぬけな狐ですねえ。

 まついさんが、機転を利かせてくれなかったら、いまだにかまくらの前でぼーっと立ってたんじゃなかろうか。
 まついさんも、こうなりゃとことんつきあうと、客を乗せるのも途中で放り出して、男の子救出作戦。
 やさしい気持ちになりました。




 狐の男の子は、どうしてひとりっきりなのか。親や兄弟はどうしたのかな。
 どうしてかまくらのことを知ってるんだろう。
 寒い中を、変身の術を忘れたとさわぐ狐の男の子と、それを見守るまついさん。
 まついさんって、仕事中なのに、サボってちゃだめじゃん。 
 
  うまれてはじめて車を見た狐の男の子のセリフが笑えるこの地味な童話。
 ちょっぴり切なくなるような、不思議な話でした。


 あすにゃん
 猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。


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