ぷらすです。

今、ハリウッドではアメコミ原作の映画が年間何本も公開されてますが、その割に僕らは(一部のファンを除いて)アメコミに触れる機会ってあまりないし、アメコミ自体よく分からないですよね?
というわけで、今回はアメコミの歴史や日本のマンガとの違いについてザックリご紹介していきますよー!(´∀`)ノ



出版社

以前、何度か書いたことがありますが、アメリカンコミックは、
「スーパーマン」「バットマン」のDCコミックス
「スパイダーマン」「アイアンマン」のマーベル・コミック
という2大出版社が大きなシェアを持っていて、
「ヘルボーイ」「シン・シティ」のダークホースコミックス
「スポーン」のイメージコミックス
など、後発の中小出版社が後に続く形です。

また、それらとは別に、自費出版や小規模出版社から刊行される、犯罪やドラッグ・セックスなど、1960年代のカウンターカルチャーを反映したコミックを出版するアンダーグラウンド・コミックスというジャンルもあるそうです。

そんなアメコミ業界で一番の老舗は、世界初のスーパーヒーローでもあるスーパーマンを擁するDCコミックスで、日本で言えば少年マガジン。対して後発のマーベル・コミックは、少年ジャンプってとこでしょうか。

なぜアメコミはヒーローコミックが多いのか

現在、アメコミと言えばその多くがヒーロー漫画ですが、それ以前は探偵物や冒険物のコミックが多かったようです。
しかし、1940年代後半から1950年代前半にかけて、暴力表現と流血沙汰を含んだ作品が人気を得たことで、政治家や規制活動家、学校および保護者のグループによる公的な漫画の出版禁止運動が行われ、いくつかの市ではコミック本の焚書が行われ、アメリカにおける漫画業界は急速に衰退します。

そこでアメリカン・コミック出版社は、1954年にコミックス倫理規定委員会を設立し、コミックス・コード(自主規制のルール)を作り、各出版社はコードに抵触しない作品として、ヒーローコミックが増えるようになったのだとか。

ちなみに、2011年に参加していた中で最後の出版社アーチー・コミックが参加を中止したことで、コミックス・コードは廃止となったそうですよ。

著作権と制作体制

日本とアメコミの一番大きな違いは、日本は漫画家が作品の著作権を有しているのに対し、アメコミは出版社が著作権を有しているということではないかと思います。
つまり、作品がいくら売れても作家には基本的に原稿料しか入らないし、「スーパーマン」や「スパイダーマン」など長く続くシリーズは作者が途中交代しながら続いていきます。

例えば、スーパーマンが初登場したのは1938年。
シリーズが長く続けば当然読者にも飽きられるし、段々時代と設定が合わなくなっていったりします。
そういう時は作者が交代、登場人物や世界観も一旦リセット(または代替わり)して、新たにリニューアルしていくんですねー。

もうひとつの違いはアメコミは分業制で、
原作・脚本担当のライター
鉛筆での下書きを担当するペンシラー
ペン入れ担当のインカー
原稿に色を塗るカラリスト。(アメコミは基本カラーなので)
吹き出しやト書きの文字を書くレタラー
(最近はPCのフォントで文字を入れるらしいです)
編集やシリーズ構成担当のエディター
と、個人ではなくチームで一本の漫画を仕上げていきます。

ただ、中には日本の漫画家と同じように、下書きとペン入れをすべて手がけたり、脚本も絵も兼任する人もいて、こういう人たちは「アーティスト」と呼ばれているようですね。

発行方法

アメコミの発行方法も基本的には、日本と同じように雑誌→話数がたまったら単行本という流れなんですが、日本のように一冊のコミック雑誌に複数の漫画が掲載されることはありません。

基本、中綴じ32Pのコミックで、スーパーマンやバットマンなど、それぞれの物語一話分+広告の薄い月刊誌として発売し、この雑誌を日本では「リーフ」米国では「コミック」や「コミックブック」と呼びます。

コミック雑誌の「リーフ」は書籍扱いではないので、書店に置かれることは殆どなく、ドラッグストアや雑誌や新聞を売っているスタンドなどで販売しているらしいですね。
で、リーフをまとめて一冊の本にしたものを「TPB(トレードペーパーバック)」もしくはTBと呼びます。日本で言う単行本ですね。

基本的にはストーリーアーク(1エピソード分)ごとにまとめられる事が多いようで、この状態になって初めて本屋やコミック専門店で販売されるようです。

クロスオーバー

上記のように、アメコミでは作品の著作権や版権を出版社が持っているので、ある作品の中に他の作品のヒーローや悪役がゲスト出演することも普通にあるし(スパイダーマンとハルクが共演とか)、逆にある作品で人気の出たサブキャラが主人公として一本立ちすることも珍しくありません。

例えば、昨年実写映画化されたデッドプールは元々「X-MEN」の脇役ですが、人気が出たので彼が主人公のコミックが登場。
その一方で、他のヒーローコミックにもゲスト出演したりしています。



日本で言えば、ケンシロウがドラゴンボールに登場して、悟空と共闘してフリーザと戦うみたいな感じですかね。

もちろんこれは、同じ出版者のキャラクターだから出来るし、例えばDCコミックスにマーベルコミックのアイアンマンがゲスト出演なんてことは“めったに”ありません。(ごく希にキャラクターのレンタルが行われて出版社の違うヒーローが登場することもあるんだとか)
映画の「ジャスティスリーグ」や「アベンジャーズ」は、このクロスオーバーで個別のヒーローがチームになって戦うコミックシリーズが原作なんですね。



で、ここからがややこしいんですが、アメコミはずっと続いている、いわゆるレギュラーシリーズと、上記のクロスオーバーシリーズに加え、企画物みたいなミニシリーズが同時進行で発刊されたりします。

例えば、スーパーマンは赤ん坊の時に滅亡寸前のクリプトン星から脱出ポッドに乗せられて地球のアメリカにやってきたわけですが、もしもスーパーマンが落ちたのがソビエトだったらという発想から生まれた「スーパーマン:レッド・サン」というシリーズや、マーベルヒーローがみんなゾンビになっちゃうシリーズなんてのもあります。


こういう公式同人みたいなシリーズとレギュラーシリーズ、クロスオーバーシリーズが同時進行でガンガン出版されるので、よほどのマニアでもない限り、発刊される全てのアメコミを把握するのは実質不可能に近いんですよねw

っていうか、日本的な感覚で言うと、アメコミの仕組み自体が公式の二次創作みたいな感じで、人気キャラクターや設定という「素材」を使って色んなクリエイターが寄って集って複数のストーリーを同時進行で作って出版するのがアメリカ流なのです。

終わらないのが当たり前

アメリカのドラマを観ている人なら分かると思うんですが、シリーズ化しているアメリカのコンテンツって、基本人気があるうちはずっと続きますよね。(日本みたいにキレのいいところで一旦終わる→次のシーズンが始まる感じではなく、1シーズンの最終回で引きを作って次のシーズンへ繋げる感じ)

それはアメコミも同じで、出版社が著作権を持っているので人気のヒーローコミックは作り手を交代し、時代に合わせて設定や世界観を更新しながら延々続いていくわけです。

スーパーマンが生まれたのなんか、月光仮面よりも前ですからね。
それが2017年の今も続いてるんですから、どれだけ長く続いるかが分かると思います。
僕が聞いた話では、スーパーマンの最終回に怒った読者によって暴動騒ぎになり、クリエイターを交代してスーパーマンを続けたのが、現在のアメコミの形に繋がっているんだとか。本当かどうかは分かりませんけどもw


と、今回はここまで。
調子に乗って書いてたら、記事が長くなってしまったので、続きは次回に持ち越しですw

ではではー(´∀`)ノシ


この記事を書いた人 青空ぷらす

今日見た映画の感想(映画感想ブログ)
note(その他、色々書いてます)

スポンサーリンク