11 おれはティラノサウルスだ
「おれはティラノサウルスだ」ポプラ社  宮西達也

  これも泣ける話です。
 むかし、むかし、おおむかし。
 まだ上手に飛ぶことのできないプテラノドンの子がいました。
 両親は、それはそれはこの子を大切に育てましたが、ある程度育ったので、独り立ちさせることにしました。
 そこへ おそろしいティラノサウルスが現れたのです。
 さあ、どうなる。
 というところから、話は山場へと怒濤の如く盛り上がっていきます。

  





 
 この話も、前回と同じように、ありそうにない話を組み立てています。ただの爬虫類にすぎないティラノサウルスに、そこまでの愛情があるかどうかは不明ですが、プテラノドンに対する態度は、人間も見習うべきところが多い気がします。

 プテラノドンの両親が、子どもに対して愛情深く、いろいろ教えるのが、こころに染み渡る気がします。
 空の飛び方を教える父親。
 世間の渡り方を教える母親。
 無邪気なプテラノドンの子どもは、それをすなおに受け取って、自分の人生に応用するのでした。
 両親の影響って、大切ですね。




 最近、『若草物語』を読む機会があったのですが、その作品中でも、母親の存在がひじょうに強く出ていまして、おなじみのジョーやベス、メグやエイミーへの感化力の多大なことを匂わせています。
 とくに『若草物語』は、シングルマザーには、応援歌的な意味合いがあるかも知れませんね。
 両親がなにを教えていくか、子どものためになることとはなにか、ということを考えて行くにつれて、甘いことだけではない世の中だけれど、善意を信じることのつよさというものを、この絵本からも感じることができます。






 ところで、この本にもティラノサウルスが出てくるのですが、ここでもこの恐竜は、エサである恐竜を食べません。
 べつにパパだと思い込まれたわけではなく、ひょんなことからそうなってしまったんですが、ティラノサウルスにしてみれば災難そのもの。
 プテラノドンは、ティラノサウルスのために、ひとはだ脱ぐことになるのです。
 このあとの、プテラノドンとティラノサウルスの交流が、泣けます。






 本来交わらないはずのふたつの種族が、こんなにもあたたかくやりとりする。
 たしかに夢に過ぎません。
 しかし、この夢は、ひとを勇気づけます。
 違う種族の動物が交流できるなら、人間だって違う人種と交流できるのではないかと。
 スカーフをかぶっていたり、金髪だったり、肌が黒かったり。
 いろんな人間がいますが、自分の得意分野とやさしさがあれば、通じるものがあるかもしれません。

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 実は、前回ご紹介した「おまえ、うまそうだな」と この作品は、長崎のクリスチャンで作家の中井(なかい)俊巳(としみ)先生からのご紹介です。彼は、絵本を書いて出版するのが夢だと言っていました。そのために、良質な絵本をよく読んでいるようです。
 
 あすにゃん
  猫とお菓子と広島がすきです!
 漫画家の たらさわ みちさんと 仲良しです。
 
 
 

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