プロフィール欄に「サブカル中二病系」と書いているように、自分はいい歳して中学生みたいな妄想が止まらない残念な人なのですが、もちろん現役で中学二年生の頃にはすでに立派なプロ厨二ストでして、学校に馴染めないプチ不登校児の根暗オタクでした。テストの日だけ会議室登校の。そんな闇の中学生時代に出会った愛聴盤が2枚あります。今回はそのうちの片方、大槻ケンヂさん率いる筋肉少女帯の、史上もっとも「病んでいる」オリジナルアルバム『レティクル座妄想』を紹介します。


レティクル座妄想
筋肉少女帯
MCAビクター
1994-04-21



・退屈な日常がイヤならば、レティクル座行の超特急に乗るしかない。でも、凡人は突き落とされるぞ!

「レティクル座」というのは、1961年の秋にUFOに連れ去られたと主張するアメリカのヒル夫妻が連れて行かれたといわれる惑星。この時期の大槻ケンヂさんはUFOや宇宙人などのオカルトに傾倒し、その類の本ばかりを読んでいて、終いには精神科医にオカルト禁止令を言い渡されてしまったほど異様にのめりこんでいたそうです(後に、UFOのみ「夢があるからね」という理由で解禁)。

このアルバムの冒頭は、汽笛と羅針盤を模した重厚な音とともに『レティクル座行超特急』という疾走感のあふれる曲で始まります。曲は疾走していますが歌詞は失踪しております。


遠い星座へ
自殺者だけ
たくさんつめこんで



現実からとにかく逃げたい人々が続々と乗り込む、レティクル座への超特急。終点ではジム・モリソン氏が『水晶の舟(The Crystal Ship)』を歌って待っていてくれるのだそうです。この『水晶の舟』というタイトルはケルト神話『コンラの異界行』からの引用なのだそうですが、このお話そのものが、死者が集うといわれる喜びの島へと旅立つ内容らしいのですが・・・。

しかし、超特急の車掌は無情。


「え~ご乗車ありがとうございます
ここで突然ですが、罪を背負った人間、
ならびにつまらない人間は今すぐ、
飛び降りていただきますのであしからず。
お出口は左側でございます。」

悲鳴



最後の「悲鳴」も含めて歌詞です。

超特急の乗客に前科持ちはそう多くはなさそうですが、つまらない人間率はおそらく99%。さっき見かけたオーバーニーソックスの少女もきっと夢見がちなつまらん人間だ。・・・俺は違う!俺は天才だ!俺はジム・モリソンの生まれ変わりだ!ドアーズの曲は『水晶の舟』と『ハートに火をつけて』しか知らんけど。やめろ!俺を嗤うな!俺を笑うな!俺を・・・おれ・・・うわああああっ!


・全部、自由帳に描いたヘタクソなマンガだよ。お前以外は誰も読まない。『蜘蛛の糸』

蜘蛛の糸
Universal Music LLC
2006-03-01



嘲笑のようなSEから雪崩れ込むのは、シングルにもなった『蜘蛛の糸』。超特急やらオーバーニーソックスの少女やらは全部が全部、中二病の冴えない奴が教室の片隅で自由帳に描いたヘタクソなマンガの中でのお話で、現実はこんな感じ。


友だちはいないから
ノートに猫の絵をかく
友だちはいないから
やせた子猫の絵をかく


同じ会話に夢中で
同じ調子で笑って
くだらない君たちの中で
ボクは貝のように黙った



・・・あれ?おかしいな?わたくし、なみだがとまりません・・・。これなんて俺?自分の場合は逆に、そういう普通の会話ができる人たちに対して劣等感を抱いていたのですが。当時、進研ゼミのCMソングに使われたり、いじめ問題に言及した歌詞だといわれたりしたそうですが、進研ゼミを始めたところで妄想は止まらないし、この人はいじめられる以前に誰も寄り付いてこないと思う。

「大丈夫 大丈夫 大丈夫」「だよねえ?」と連呼していますが、どう考えても大丈夫ではありません。だめだこいつ・・・はやくなんとかしないと・・・。


・死者の言葉などアテにならぬ。お前らいいかげんに埋まれよ。『ハッピーアイスクリーム』

舞台は再び非現実へ。死者たちの星座、レティクル座にたどり着いた主人公。超特急からはつまみ出されたものの、なんとか銀河鉄道の在来線を乗り継いで来れたようです。

そこでは、神と4人の死者たちが、・・・埋めたり埋められたりの追いかけっこをしていました。・・・何を言ってるのかわからねえと思うが、俺もこれどう説明したらいいかわかんねえ・・・。

「ハッピーアイスクリーム」は、友達どうしで同じ言葉を同時に言った時に、先に「ハッピーアイスクリーム!」と言った方がアイスクリームを奢る、というゲームだそうですが・・・。世代的なものなのか地域的なものなのかわかりませんが、自分は全く知りませんでした。神(大槻ケンヂ)と、少女たち(女性コーラス4名)の掛け合いボーカルが特徴的ですが、その掛け合いの中身はこうだ。


アー死者よ
ちゃんと教えてほしいんだ

死ぬか? 「死ぬわ」
怖い? 「平気」


少女たちの返答がテキトー過ぎて、なんの参考にもなりません。こいつら埋めても埋めても蘇るから実質的に生きているようなもんだし。

あと、唐突に「逆さにしちゃうぞ!」とのたまうのですが、これの元ネタってもしかして、井上陽水奥田民生『ありがとう』のこのエピソードに出てきた高名な作家のことだろうか・・・時期的にもおそらくこのあたり(1994年ごろ)の出来事のはずだし。

サビはなんと・・・「愛している」の連呼。大槻さんの歌詞には意外にも「愛する」「好き」が結構よく出てくるのですが、そういったフレーズが出てくる曲の中でも最大級に重いです。そしてラストの悲痛な叫び。


苦しいんだ「ついに言ったね」
つらいのさ「わりとモロイね」
君だけが「誰のことかね」
蜘蛛の糸



「」内でシニカルにセルフツッコミをしていますが、「誰のことかね」が、すべては主人公の妄想であることを示しています。「蜘蛛の糸」なんて本当は存在しない、蜘蛛の糸の上から同級生を蹴散らしてやるなんて、テロリストになってDQNをボコる妄想と同レベルなのを自覚してはいるはず・・・ですが、妄想はあっちに行ったりこっちに行ったり。次に続く曲は、妄想なのか現実なのか判断が難しいところですが、どちらだとしてもキツイわあ。・・・で、あ、文字数・・・。


まだ3曲めなんだぞ・・・全12曲あるんだぞ・・・大丈夫だよねえ?(全然うまくない)

この記事を書いた人


プラーナ

henkou_ver

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

note

twitter

google+

instagram



スポンサーリンク