チベットでもエジプトでも、そして折口信夫のでもなく、ジョナサン・キャロルの小説「死者の書」。創元推理文庫から出版されている。原題は「The Land of Laughs」なので、「死者の書」でも何でもないのだけれどね。これまでの翻訳は次の通りだ。

死者の書 (創元推理文庫)
ジョナサン・キャロル
東京創元社
1988-07-14



ジョナサン・キャロルの作品

  • 「死者の書」
  • 「我らが影の声」
  • 「月の骨」
  • 「炎の眠り」
  • 「空に浮かぶ子供」
  • 「犬博物館の外で」
  • 「沈黙のあと」
  • 「天使の牙から」

ここまでが長編、順番は作者の発表順。それと短編集が2つ。「パニックの手」と「黒いカクテル」。このあたりまでは新刊が発売されるたびに追いかけていた。その後に出版された長編「蜂の巣にキス」「薪の結婚」「木でできた海」を読んだのはずいぶん後になってからだ。

エジプト、チベットの「死者の書」と折口信夫「死者の書」



エジプトの「死者の書」(Book of the Dead)を読んだ記憶がない。記憶がないってことは、解説本なども読んでいないんだろう。あまり興味を惹かなかったからね。チベットの「死者の書」は何冊か読んだ。「チベットの死者の書」(ちくま学芸文庫)や「ゲルク派版 チベット死者の書」(学研M文庫)あたりかな。こちらは興味アリアリ。「中有」って定義の仕方、何かいいんだよね。

折口信夫の「死者の書」も読んだ。たぶん、中公文庫だ。ただ、民俗学はそれほど深くハマったことがない世界になると思う。基本的には。面白そうな分野だと感じてはいたんだけどね。こういうのは何らかの出会い(きっかけ)が必要なんだろう。「木島日記」(未完)はぜんぶ読んだけど。マンガの方(森美夏)ね。




ジョナサン・キャロルの「死者の書」

「死者の書」はジョナサン・キャロルのデビュー作だ。Amazonのレビューにもあるようによく「ダーク・ファンタジー」とか「ファンタジー・ホラー」とかその作品を形容されるけれど、そんな言葉でくくられることのない世界がこの作品からも広がっている。たぶん好き嫌いというか、読みやすい読みにくいの区別がはっきりしている作家だと思う。

それに加えて、翻訳者(浅羽莢子)の、独特なリズムを刻む地の文や語り口の軽さがストーリーや設定となかなか合っていて、これがまたいいんだよね。海外の名作には優れた翻訳家がセット。それはこの本にも当てはまることだ。原書は読んだこと、どころか見たこともないから、どこまで日本語の味付けがされてるか、いい加減なことは言えないけどね。この作品に関しては翻訳の妙とでもいうべきところだと思う。

まあ、基本的に好きだな。というか、かなり好きな本だ。


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yosh.ash

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