オルダス・ハクスリーの代表作といえば「すばらしい新世界」が真っ先に挙げられるんだろう。個人的には「知覚の扉」の方が刺激的だった。「知覚の扉」の原題は「The Doors of Perception」。それからThe Doorsのバンド名がとられたことで有名だ。元はウィリアム・ブレイクの詩から引用されていた。

 If the doors of perception were cleansed, everything would appear to man as it truly is, infinite.




精神世界にハマっていた話

これを読んだ当時はどっぷりと精神世界にハマりこんでいた。精神世界といっても宗教的な方向から入ったのではなく、やっぱり理系で音楽系なのかニューサイエンスやドラッグ(SEX,DRUG & ROCKN'ROLL)あたりからチベット密教、文化人類学関係まで、それとユング心理学からだった。

具体的には、第三書館の「マリファナ・ハイ」「チョコレートからヘロインまで」などや、工作舎の「タオ自然学」「地球生命圏」など。あとは中沢新一から「悲しき熱帯」なんか。ユングは、ユング本人の著作よりも河合隼雄の方が多く読んだような気がする。いったい何冊ぐらいの書物を目にしたのか数えられない。

この手の本、高価(当時の自分にとって)なものが多かったのでカバン(リュック)を背負って古本屋を回ったりして、興味の惹かれるモノはほとんど片っ端から買いこんだ。別に大学の専門ではなく、体系的に読むことなんてこれっぽちも考えていなかったから、専門的な書物も、軽い入門書も、怪しげなサブカル系も、すべて同列に近い形でがぶ飲みしていた。

「知覚の扉」に出てくるバルブの話

「知覚の扉」。家にあるのは河出書房から出版された「知覚の扉・天国と地獄」。今なら平凡社ライブラリー版が手に入れやすいと思う。

知覚の扉 (平凡社ライブラリー)
オルダス ハクスリー
平凡社
1995-09-01


この本に出てくるメスカリンはペヨーテ(サボテン)に含まれる幻覚剤だ。それを摂取した自らの体験が記されているのがこの書物なんだけど、いちばん印象に残ったのは「バルブ」の話だった。

人間は誰でも本来的には、宇宙精神を持っていることになる。しかし、われわれが生き物である限り、人間はどんなに大きい犠牲を払ってでも生物的生存を続けていく義務がある。そして生物的生存を可能にするためには、宇宙精神の意識内容は、脳や神経組織の減量バルブによって濾過減量という検問を受けざるを得ない
(引用:「知覚の扉・天国と地獄」訳、今村光一 河出書房)

簡単に言うと、ヒトは誰もがもっと広大な精神を持っているのだけど、生きるためにはそのすべてを享受していてはやってられない。だから、生きていくためにバルブを閉めて、生きるために必要なものだけをそのバルブから通して、日々の生活を送っている。

あらかじめヒトは悟ってる……そんな意味合いに取れるかもしれない。そう、この本を読んでからあらためて、こんなふうに思った。世界は、自分が思ってる世界は、これがすべてだろうかって。それは99%否定の意味を含めた問いかけだ。自分の感覚に対するね。

思い出す幼い頃の話

たぶん小学校のとき。感じたこと。夏の暑い日で、木登りかなんかして、たしか木の上に秘密基地みたいなものをつくっていた。ホント、バカみたいに暑くて、汗だらけで、その基地までのぼるのがやっとだった。まだ背も小さかったし、力も弱かったし。基地にたどりついたら、ほっとして、ほっとしたら、なんかぼうっと頭のなかがして、で、青空を見上げて……。それは古来、おそらくヒトが言葉を有する前から存在する疑問なんだろう。誰もが思う不思議。

なぜ、ここにボクはいるんだろう?

もちろん、そんな問いの答えは持ち合わせていない。

The Doorsは1stアルバムが圧巻だ。1曲目の「Break on Through(To the Other Side)」から始まって、大ヒット作の「Light My Fire」が5曲目。捨て曲がない。ジム・モリソンの存在感がとんでもない。最後の「The End」まで。最近、あまり聴かなくなったけれどね。

ハートに火をつけて
ザ・ドアーズ
ワーナーミュージック・ジャパン
2015-08-05



この記事を書いた人

yosh.ash

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