去る9月3日はドラえもんのお誕生日、来る9月23日は原作者の藤子・F・不二雄先生のご命日、ということで、今回は自分の好きなドラえもん映画を紹介します。



・ファンタジーに支配される日常『のび太の魔界大冒険』



よく「ドラえもんのひみつ道具で何かひとつ貰えるなら何がほしい?」という問いに対して「『もしもボックス』を使えば最強じゃん」と返し、「いやいやそれは反則じゃないか?」みたいな議論が行われることがありますが、その「もしもボックス」を反則的に用いた作品。

魔法が使える世界に憧れて空想に耽るのび太が「もしも魔法が使える世界になったら」と試してみることで物語が始まりますが、冒険に旅立つよりも先に、のび太の家の近辺で不可思議な出来事が起こります。これが実に怖いのです。のび太たちが自ら魔界に旅立つのではなく、普段の生活が侵食されていく感じが。

まあ、主にママのせいなんだけども。ていうか、よくあんなデカいもの1階まで運んだな・・・。

1時間40分という長尺なのもあり、子供の頃は観るのがしんどいと思っていて、特にお気に入りでもありませんでした。なんか魔法とか魔界というと、勇者さまが剣を持って未知の洞窟とかに行くようなイメージがあって(完全に『ドラゴンクエスト』ですよね、それ)、地味だなあと。まあ、ドラクエが世に出るのはこの作品の2年後なんですけどね・・・。この作品の公開時は自分、産まれていなくて、後年にレンタルビデオで観たので・・・。

でも、いま観ると、ホラーな要素とファンタジックな要素と普段ののび太たちの生活風景に起こる不思議を楽しめる、最初から最後まで退屈しない充実した内容。大人向けな気がするなあ・・・。リメイク版の『新魔界大冒険~7人の魔法使い~』でも不安を煽るような要素はあるけど、全体的にマイルドになったかなあ。敵がそんなにエグくない。

オリジナルも悪魔たちは結構コミカルなんだけども。「帽子の星の数を見てから物を言えーっ!」「あっ、星2つ!蒸し焼きにいたしますですぅ!」

魔界での一連の出来事がただの悪夢だったかのようなエンディングも好きですね。逆に、『のび太の夢幻三剣士』の「・・・ん?」と思うエンディングも、あれはあれで好きなんですけども。



・1993年時点での未来への警鐘『のび太とブリキの迷宮』



人間とロボットの共存、がテーマの作品。後期は森林保護や絶滅動物のエピソードも多くメッセージ性も強かったドラえもんですが、歴代ドラ映画の中でも実は最大級にシリアスな内容でしょう。中盤はずっとドラえもんと別行動なので、ひみつ道具は当然ながら出てきません。

前年の作品『のび太の雲の王国』と同様、ドラえもんが故障してしまいますが、今回は電気拷問を受けて故障した上に粗大ごみ扱いされて海に投げ込まれてしまいます。この場面が未だにトラウマ(今でも憶えているんだけど、地上波で放送された時、このタイミングでCMに移ったので尚更インパクトが)。・・・最後の敵陣のやられ方も、別の意味でトラウマ物ですが。

機械に頼りすぎる人間は、自ら行動することができなくなってしまうのではないか?という未来への危惧が描かれています。

最近の自動運転技術は凄いですよね。まだ一部の車にしか搭載されていませんが、自動で車間距離を取って走ってくれたり、ハンドルに手をかけなくても自動で車庫入れしてくれる機能などもあるそうです。便利になって交通事故が減るのは良いことですが、そのうち機能に頼り過ぎて車の運転方法を忘れてしまうかもしれません。

この作品が公開されたのは1993年で、まだ携帯電話も普及していなかった頃。

ドラえもんの道具に「オコノミボックス」という四角い箱型の道具があります。これは、なんでも箱に向けて命令すればその通りの機能を果たすという道具。「テレビ」と命令すればテレビが流れ、「カメラ」と命令すればカメラになる。ほとんどスマートフォンですね。

F先生がうっかり未来を予見し過ぎてしまったのか、未来の展開が予想外に早かったのか。


・悪人がいないコメディー怪盗もの『のび太のひみつ道具博物館』



テレビで視たシャーロック・ホームズに憧れて、探偵の真似事をするのび太。

家で昼寝をしていた隙に、首輪につないだ鈴を何者かに奪われたドラえもん。起きたと同時に大騒ぎ。ドラミちゃんにも「鈴なんていつでも交換できるのに、なんでそんなにこだわるの?」と不思議がられますが、どうしても鈴を探し出したいと言って聞きません。ホームズに夢中なのび太は、ひみつ道具「シャーロック・ホームズセット」を使ってここぞとばかりに鈴探しを楽しみ出し、どうやら怪盗DX(デラックス)と名乗る者に盗まれたらしいということが判明、そこからずっとコメディータッチで物語が進んでいきます。

宇宙とか魔界とかには行かず、いちおう未来世界には行くけども、ひとつしかない目的地「ひみつ道具博物館」の館内で解決してしまうので、冒険活劇という感じはしませんが、この博物館そのものが楽しいので物足りなさはないです。

一瞬だけだけど「きれいなジャイアン」が出てきたり、「ころばし屋」「正直太郎」などのマイナーキャラがいたり、観客席に藤子不二雄先生らしき人物が2人ならんでいたり。背景にもたくさんのロボットやマニアックな道具が現れるので、原作クラスタ的にも楽しめます。向井おさる氏は・・・いてもいいけどいなくても別にいいです・・・。

基本的にドラ映画には悪役、ラスボス的なキャラクターが存在するのですが、この作品は5人の完全なる敵対者、悪人というのは出てきません。いや、悪いことをしている奴はいるわけですが、他の作品と違って人類の滅亡とか未来の変貌とかに関与する出来事でもない。だから緊張感はあまりないのですが、逆にそれが新鮮。ドラえもんは基本的にキッズ向けなのだから、こういうユルいのが1作くらいあっても悪くないかなあと思います。






・声が変わっても、ドラえもんはドラえもん

多くの方がご存知のように、ドラえもんの声優陣は2005年に交代しています。自分は'80年代後半から'90年代中盤のアニメ版ドラえもんと一緒に育ってきたので、やっぱりあの次回予告の「楽しみに待っててね~」や、仲良くしているのび太としずかちゃんの姿を「うふふふふ」と微笑みながら見守っている姿に馴染みがあるのですが、水田わさびさんのドラえもんにも段々と慣れてきて、今ではどちらも好きです。大山さん時代のドラえもんはのび太を保護者的に見守ってくれる頼れる存在、水田さんに代わってからのドラえもんはのび太を通じた視聴者(キッズ)と対等の気の置けない友達。

『サザエさん』のカツオの声が変わった時は「!?」と思ったし、ワカメに至っては数年が経っても違和感があったけど、今ではどちらも自然に入ってくる。慣れって怖い。何が言いたいかというと、声が違うっていうことで最近のドラ映画を観ていないという方がいたとしたら、もったいないと思う、っていうことです。自分がそうだったし。実は、『のび太の恐竜2006』以降の作品は、自分もここ1年で観たんですよね。

この記事を書いた人


プラーナ

henkou_ver

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。 

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