1987年、第1回楳図賞(佳作)でデビューしたのが伊藤潤二。作品は「富江」。発表号の「ハロウィン」(2月号)に掲載されていたのだけれど、なぜか1ページに2ページ分の原稿がのっていて読みにくかった覚えがある。

たしか横向きだったのかな。雑誌を横にしないと読めなかった気がする。それと何てへたくそな絵なんだろうって。しばらくすると美少女系になった「富江」だけど、最初はまったくそんなこともなく、何でこれが佳作(受賞はこれだけ)に?と思った。

でも気がつくとハマっていて、「ハロウィン」に連載していたものでコミックまで買ったのはこの人だけ。当然、ぜんぶ買った。もちろん「ハロウィン」連載以外の「うずまき」とかもね。




ホラー・オカルト少女マンガ誌 月刊「ハロウィン」

月刊「ハロウィン」は創刊号からしばらくの間ずっと買っていた。1985年1月号から別冊も含めて5年ほどは確実に集めていた。ホラー・オカルト少女マンガ誌。なんか文字にすると恥ずかしい感じだけど、しょうがない。本当にそう書いてあった。

気がつくと、月刊「ハロウィン」は廃刊になっていた。1995年12月。会社の事情ってやつなのかな。朝日ソノラマでこの雑誌の後継にあたるのが「ネムキ」。これ、「ハロウィン」の増刊「ほんとにあった恐い話」や「眠れぬ夜の奇妙な話」の流れからきてるんだよね。その「ネムキ」も2012年暮れにお終い。今は「Nemuki+」になっている。

伊藤潤二は日本でつくられた恐怖マンガの正統的な後継者

そんなふうに伊藤潤二をそんなふうにとらえている。本人が語ってる楳図かずお、古賀新一からつのだじろうあたりまで。それだけでなく、当時の子ども達を虜にしたオカルト系のサブカルチャーや東宝、大映あたりのSFや恐怖映画までをすべて吸収してる人だと思った。もちろん、ラヴクラフトも。ただ、これほどまでにブレイク(映画&ドラマ化)したのは驚きだったけどね。

本人が自選作品としてベスト3に挙げてるのが次の作品だ(1999年時点)。ネタバレのようなことは書かない。タイトルと収録されているコミックスを貼っておく。

「ファッションモデル」。



「脱走兵のいる家」。



「長い夢」



この3つのなかでは「脱走兵のいる家」が好みかな。はじめて読んだとき背筋に寒気が走ったことを覚えている。映画化された「富江」や「うずまき」などの長い作品もいいけれど、1回で読み切れる短編も捨てがたい。まあ、どちらもいいんだよね。ここに挙げたマンガ以外もイイ。伊藤潤二は、短くても、決して手抜きがない点が最高なマンガ家だと思う。

伊藤潤二のマンガに共通するのは人間

マンガのなかでどんなに奇妙なことが起きようとも、中心にあるのは登場人物だ。人間たちの心の動きを絶妙に捉えている。いちばん怖いのは心理なんだろうね。中途半端な自意識を手に入れた人間って動物の心理。見えないものが見える。聞こえないものが聞こえる。あるはずのないものが感じられる。そんなものが結局いちばん怖いんだよな。そう思う。






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yosh.ash

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