今回は中国の女性作家、衛慧(ウェイ・フェイ)の『上海ベイビー』。20世紀末の上海を舞台に繰り広げられる物語だ。ちなみに中国では過激な性描写が問題になり発禁になったという曰く付きの小説だが、実際のところはわからない。翻訳が上手いのか、とりたてて過激な印象は受けなかった。

退廃的な匂いを感じ取ったから

この一冊もタイトルと装丁で一発ジャケ買いしたものである。何やら退廃的な匂いを感じ取ったからだ。清く正しい物語も悪くはないが、退廃的な物語により魅力を感じてしまうのはなぜだろうか。



読み進めていくと、小説家志望の主人公ココが、恋人がありながら、別の妻子持ちのドイツ人男性と深い仲になり、その狭間で煩悶している。ココは自分の奔放さはそっちのけで色々なことに過敏すぎるくらいに反応し、考え込んだり、傷ついたりする。読んでいるとまわりの人々を巻き込み、振り回しながらも自分探しをしているかのようだ。でもこういう女の子は確かにいる。

物語はココの恋人が麻薬中毒になって亡くなり、ドイツ人男性は母国に帰国し、ココはひとりぼっちになる。最後に彼女が辿り着いたのは「自分は誰なんだろう?」ということだ。

『上海ベイビー』を嫌いになりきれない理由

舞台は中国本土では最先端の街、上海。ナイトクラブ、アルコール、麻薬、奔放な男性関係。1999年の中国で書かれた小説としては確かに退廃的でセンセーショナルだったであろうと思う。

奔放かつ繊細な女の子の勝手な自分探しの物語じゃないか、と毛嫌いする人もいると思う。今回これを書くに当たってググって色々な感想も読んだが、そんな人もたくさんいた。しかし、私は嫌いになりきれない。ココのような女の子はどの時代にも存在するし、その気持ちもわからなくはないからだ。もし興味があったら一読してみても損はない。

作者の衛慧は何作かの作品を送り出したが、今や完全に表舞台から消えてしまった。成熟した大人になった彼女であればどんな物語を書くのだろうか、と思うと少し惜しい気がする。

ちなみにこの『上海ベイビー』は映画化もされていて、なんと松田聖子がバーのママ役で出演している。私は観ていないのでなんとも言えないが、そこに出なくてもいいんじゃないの?と思っている。

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2012-08-28


読むならばこんな場所で

さて、『上海ベイビー』を読むのならば、もちろん、上海の夜景が見える場所で……と言いたいところだが、東京でもいい、大阪でもいい。都会の夜景が見える場所で、喧騒が聞こえる場所で、強めのカクテルでも飲みながら読むと気分が出る気がする。なんといっても舞台は魔都・上海だ。

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旅と音楽と本が好き。別名義でWebライターとして活動中。
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