毎日毎日蒸し暑い。夜になっても熱帯夜が続く。こんな夜に私が読みたくなるのが『愛人 ラマン』(マルグリット・デュラス)だ。映画化もされ大ヒットしたので、原作を読んでいなくても映画は観た、という人もいるだろう。仏領インドシナ・(現在のベトナム)を舞台に繰り広げられる15歳の「わたし」とお金持ちの若い華僑の愛人との性愛について描いた自伝的な小説だ。

文学賞受賞と映画への不満

この作品が出版されたのは1984年。デュラスは既に波乱万丈な人生を送りながら作家として、また映画監督として活躍していたが、この作品でフランスで最も権威のある文学賞と言われるゴングール賞を受賞した。世界的大ヒットとなった小説となれば、当然のように映画化される。こうして映画は仏英合作で1992年に公開された。華僑の青年役に、レオン・カーフェイ(カッコ良かった!)、少女役にイギリス人女優のジェーン・マーチ。映画もヒットしたが、デュラスは映画の出来に大きな不満を抱えていたらしい。「雰囲気だけの映画」と言われれば確かにそうも取れるが、どのあたりが不満だったのかを詳しく聞いてみたい気がする。

愛人 ラマン (河出文庫)
マルグリット デュラス
河出書房新社
1992-02-05


15歳から18歳の自伝的小説

『愛人 ラマン』は恋愛小説ではない。デュラスの15歳から18歳の間の愛人との「性愛」を描いた自伝的小説だ。しかし、性愛を重ねるうちにそこには愛情、もっと正確に言うのならば情が生まれてくるのは当然だ。しかし、「わたし」がフランスへ帰国することになった時、ボートを見送りに来た青年を目にして「わたし」は涙を流さずに泣く。愛人であった華僑の青年を相手に涙を流すのはいけないことだと考えたからだ。当時の事情(ベトナムは仏領であった)からは当然の行動かもしれないが、10代の少女にとっては痛いほど過酷な行動であっただろう。

フランスへ帰国してからの「わたし」についてはぜひ作品を読んでもらいたい。ラストで「わたし」の衝撃を受け止め、思わず涙を流してしまうのは私だけだろうか。

デュラスはこの後、かつての愛人であった青年の死を知り、『北の愛人』を執筆し、1991年に上梓する。かつての愛人をデュラスはどのように描いたのだろうか。私はまだ読んでいないので気になるところだ。


北の愛人 (河出文庫)
マルグリット デュラス
河出書房新社
1996-10


『愛人 ラマン』を読むならば……

蒸し暑いメコンの風が吹くかつての仏領インドシナに思いを馳せ、「わたし」と愛人が出会ったメコンの渡し船での光景を想像しながら、熱帯夜にゆったりとビールやワインを飲みながら、デュラスの描く世界に浸りたい。できればベトナムビールやベトナムワインがあれば最高だ。


バーバーバー(333) 瓶 355ML × 24本
株式会社 池光エンタープライズ


この記事を書いた人

bloglogo
madokajee

旅と音楽と本が好き。別名義でWebライターとして活動中。
note  twitter 


スポンサーリンク