好みのSF作家は数多くいて、そのときの気分によってベストを決められないけれど、ルーディ・ラッカーは確実に選んでしまうだろう。ルーディ・ラッカーの作品を一言で伝えるなら、こじらせたマッド・サイエンティストが科学をポップに料理しちゃいましたって感じだ。ウェア4部作と呼ばれる『ソフトウェア』や『ウェットウェア』なども、実質的なデビュー作『ホワイト・ライト』あたりもその雰囲気は変わらない。

ルーディ・ラッカーのSF小説

ルーディ・ラッカーの翻訳されてる小説は次の通り。
  • 『時空の支配者』(新潮文庫、翻訳:黒丸尚)
  • 『空を飛んだ少年』(新潮文庫、翻訳:黒丸尚)
  • 『ソフトウェア』(ハヤカワ文庫、翻訳:黒丸尚)
  • 『ウェットウェア』(ハヤカワ文庫、翻訳:黒丸尚)
  • 『空洞地球』(ハヤカワ文庫、翻訳:黒丸尚)
  • 『ホワイト・ライト』(ハヤカワ文庫、翻訳:黒丸尚)
  • 『セックス・スフィア』(ハヤカワ文庫、翻訳:大森望)
  • 『ラッカー奇想博覧会』(ハヤカワ文庫、短編集)
  • 『ハッカーと蟻』(ハヤカワ文庫、翻訳:大森望)
  • 『時空ドーナツ』(ハヤカワ文庫、翻訳:大森望)
  • 『フリーウェア』(ハヤカワ文庫、翻訳:大森望)

ちなみにこの順序はルーディ・ラッカーが発表した順ではなく、日本に翻訳された順番だ。途中で翻訳者が変わってるのは1993年に病死してしまったから。黒丸尚が翻訳したもので有名どころとしてはウィリアム・ギブスン。『ニューロマンサー』など。サイバーパンクSFでは欠かせない貴重な翻訳者だったと思う。

最初に読んだのはフィリップ・K・ディック賞をとった『ソフトウェア』(『ウェットウェア』も受賞している)。この本に出て来るというより ラッカーの一貫した主張である「すべてはひとつ」理論(「All is One.」)がやたらと頭にこびりついて、それからラッカーにハマった。どれも捨てがたい小説だけれどオススメを1冊と聞かれたら、迷いなく『空を飛んだ少年』を選ぶ。


ソフトウェア (ハヤカワ文庫SF)
ルーディ ラッカー
早川書房
1989-10


時空の支配者 (ハヤカワ文庫SF)
ルーディ ラッカー
早川書房
1995-02


ホワイト・ライト (ハヤカワ文庫SF)
ルーディ ラッカー
早川書房
1992-05


『空を飛んだ少年』新潮文庫(1987年)

『時空の支配者』が新潮文庫で出されたのも1987年だった。表紙はなぜか吾妻ひでおのイラスト。おそらくすぐに絶版になったんだろうね。『時空の支配者』はハヤカワ文庫から1995年に復刊した。でも、同じく新潮文庫から発売された『空を飛んだ少年』は復刊していない。それからそのまま。

『ソフトウェア』あたりの評価がもっと良ければすぐさま復活したんだろうけどね。日本人ウケしなかったのかな……。邦題が悪かったのかな……。原題は『The Secret of Life』。それが『空を飛んだ……』では少々センスに欠けたのかもしれない。表紙の絵ではアメリカの垢抜けない少年がホントに空飛んでいた。小説の中身とはまったく違うんだよね。

ただ、内容はすごくいい。ラッカーにしては物語が破綻してないし(ルーディ・ラッカーにしては……だけど)、終わり方もふつうの小説みたいにちゃんと終わってるし(それでもご都合的な面はある……)。って褒め言葉じゃないな、これ。とにかく、SF要素のある、60年代青春小説としてギリギリ成り立っている。

『空を飛んだ少年』……復刊しないかな?(願望)

オススメした『空を飛んだ少年』。残念だけれど新刊では手に入らない。古本でなら買うことができる。とても残念だよ。残念すぎる。でも、まだ、ルーディ・ラッカーの作品では恵まれている方かもしれない。ウェア4部作の最後である『リアルウェア』(おそらく、このタイトル名でいいはず)は翻訳されていないんだよね。2000年以降の著作はオール無視。

そのうち、『空を飛んだ少年』の復刊を含めて、さまざまな作品が日本語でも読めるようになって欲しいと思っている。英語は読めないし、たとえ読めたとしてもルーディ・ラッカーの本を目で追うのは大変な気がする。復刊、復刊、復刊! ハヤカワさん、ちょいと頑張ってくれないかな?(淡い期待)




※SF小説以外の本……これもかなり面白い

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yosh.ash

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