迷っていたり、何かを決めかねている時に、偶然1冊の本やマンガを読んでその内容に背中を押されて実際に行動に起こしたことはないだろうか?私にはある。その本は特別な1冊となって自分の中に残る。私にとっては『上海の西、デリーの東』がその1冊だ。あれを読まなければ今の自分はないと思っている。
 
1冊の本との運命的な出会い

いつものように近所の個人経営の書店をふらついていると『上海の西、デリーの東』という本が目に止まった。私はよく書店をふらつくが、これを買おうと決めてふらつくことは少ない。なんとなく目に止まった何冊かの出だしをちらりと読んで決めることがほとんどだ。時々はCDのジャケ買いのように、本の装丁や、タイトルにピン!と来た勢いだけで購入することもある。

『上海の西、デリーの東』は完全にジャケ買いだ。題名も素敵だなと感じた。旅行記はたくさん読んでいるけれど、この本は私が今まで読んできた旅行記とは違いそうだな、と思い購入した。



結果、私はこの本にしっかりとハマった。中国からインドまで、なるべく陸伝いにたくさんの国を旅をする、そんな素樹氏の力の抜けた軽い文章もすてきだったし、何しろ私も強烈に旅をしてみたくなったのだ。そういえば、私は高校生の時にインドのグラビアを眺めて20世紀中にインドへ行ってみようと思っていたことも思い出した。読了した翌日、私はいつもの書店に『地球の歩き方 インド編』を買いに行った。この時、2000年。20世紀最後の年だ。私の高校生の時の思いもよみがえってきて、私はものの数日でインドに行ってみることに決め、2000年の12月にはガンジス川のほとりにいた。滑り込みセーフである。

それから何度も行くこととなるインドへの旅については、以前の記事をよんでいただけると嬉しい。

旅の上での日常

『上海の西、デリーの東』は旅行記でもあり、旅の上での日常を書き記した日記でもある。会社を辞め、恋人に振られても旅に出てた素樹氏が、滞在した街について肩肘のはらないさらっとした文体で書いている。もちろんフィクションも混じってはいるが、それすらも自然で、私にとってこの本は大切な1冊になった。何度も読みすぎて本がバラバラになるほど読んで、また新しい1冊を買い足した。

旅の上での日常というのは、旅中の淡々とした生活のことだ(と解釈している)。旅が長期化してくると朝はどこでご飯を食べて、そういえば○○君が訪ねてくるって言ってたな、とか旅中にもかかわらずなんとなく生活しているような気持ちになってくるのだ。私にはそれが心地よかった。そんな日常が軽やかに飾ることなく書かれている本書は今でも本当に良い本だと思う。旅に興味があるのならばぜひ読んでみて欲しい1冊だ。

ちなみにこの本には続編がある。『クミコハウス』というインド・ヴァラナシにある日本人宿でのできごとを主に書いているが、チャンスがあったらこちらも併せて読んでほしい。

クミコハウス (新潮文庫)
素樹 文生
新潮社
2003-07





読むならばここ!

個人的には通勤通学の列車の中で読むことをオススメする。もしかするとそれがきっかけになって、会社を辞めて旅に出てしまうかもしれないし、辞めることを選択しない人にとってもまだ見ぬ国の様子がさらりと書かれていて、現実逃避にはもってこいの1冊だと思う。ただし、私のように突然旅に出ることになっても責任は取れないのであしからず。

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madokajee

旅と音楽と本が好き。別名義でWebライターとして活動中。
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