Fairground Attraction(フェアグラウンド・アトラクション)。あまりにも有名なジャケット写真。これはElliott Erwitt(エリオット・アーウィット)の1955年の作品。タイトルも洒落ているよね。『The First of a Million Kisses』。このアルバムは1988年の作品。デビューシングルの「Perfect」も、アルバム『The First of a Million Kisses』も全英1位だった。



無人島に持っていくなら『The First of a Million Kisses』を選ぶ

かなり前に「レコード・コレクターズ」の別冊で「無人島レコード」という企画があった。ぎりぎり20世 紀の頃。「HMV ONLINE」では今でも似たような企画をやっている。「無人島に1枚レコードを持って行くなら何?」ってやつ。そのときに真っ先に思いついたのがこのア ルバムだった。

なぜかって?

やたらと聴きたくなる時期が、まるで時間の横軸が恐ろしく長いバイオリズムの曲線を描いていて、突如としてやってくるみたいだ。3年から、下手すると5年ぐらいの長い横軸かな。頂点がやってくると、ひたすら聴いてるんだ。そんなアルバムはこれしかない。ホント、これだけ。

CDは2枚買った。1枚目は傷だらけになって再生できなくなった。編集盤の『Ay Fond Kiss (ラスト・キッス)』や『Kawasaki Live in Japan(ライヴ・イン・ジャパン)』も買ってみたけど『The First of a Million Kisses』までの魅力は感じなかった。

自分の音楽棚のなかでは異色だと思う。それは実際のCDラックでもそうだし、頭のなかでもそう。基本的に女性ボーカルのCDは少ない。必ず購入するのは、Bjork、Kate Bush、王菲、Nina Hagen、小川美潮、戸川純…。明らかにFairground Attractionのサウンドは浮いている。

自分でもよく分からないんだよね、好きな理由が

Fairground Attractionは『The First of a Million Kisses』の1枚だけで実質、解散した。ボーカルのEddi Readerはソロ活動しているけれど、それほど心に響かない。

Fairground AttractionでのEddi Readerは輝いて聴こえてくる。まったくEddi Readerの責任ではないんだけどね。とても上手いシンガーだと思うし、かっこいい。それでもFairground Attraction在籍時の方がどうしても好み。これだけはどうしようもない。自分の身体がそう言っているんだから、否定出来ない偽りのない真実な情感だ。

他の女性ボーカルもの。昔に数枚は聴いたよってリストを挙げてみても同じだ。Janis Joplin、Joan Jett、Suzi Quatroあたりはよく聴いていた。偏っているかな。

日本でいえば、Zelda、アマリリス、G-Schmitt…とアンダーグラウンドに沈んでいく。もっと偏っている。他にも多くのアーティストを聴きまくっていた。あらゆる刺激を求めていた年齢だったせいだ。それでも女性ボーカルより男性ボーカルのアルバムが多い。

「レコード・コレクターズ」の別冊では、質問にこんな条件が加えられていた。記憶違いだったらごめん。「どんな無人島を思い浮かべたかも記す」と。

南の島。でも、灼熱の……というのではなく、湿気の少ない過ごしやすい場所。できれば乾期の方がいいかな。こぢんまりとした砂浜があって、その木陰にベンチでも置いて寝そべりながら聴いてるイメージが浮かぶ。

漂流してきた無人島というより、観光客の訪れない、ちっぽけなリゾート地みたいな感じだ。白砂が続くビーチだけしかなく、太陽の光と海の音だけが聞こえる、まるで地球上に存在しないような場所を想像する。たまに降ってくるスコールぐらいなら許そう。

よく分からないけど、きっと……

たぶんだけどね。Fairground Attractionの音は空気に近いのかな、と思っている。存在が空気のように……という喩えではなく、空気に溶けてしまいそうな音って感じがする。

とてもナチュラルな音。ニュートラルな自分でいられるサウンドが心地よく体を響かせてくれる。だから「無人島レコード」のときに真っ先に思い浮かんだのかもしれない。CDをかけた瞬間に流れてくる音から、澄んだ空気の匂いがしてくるんだよ。

ファースト・キッス(紙ジャケット仕様)
フェアーグラウンド・アトラクション
SMJ
2014-05-21


この記事を書いた人

yosh.ash

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