・イメージどおりではあるけど、それだけじゃない。暗く2次元的なヒット作『the WORLD Ruler』
飛躍的に知名度が上がったのは、9枚めのシングル『the WORLD/アルミナ』がアニメ『DEATH NOTE』の主題歌となってから。主人公の夜神月(やがみ ライト)くんが「僕が新世界の神になる!」と恐れ多い野望を叫ぶ、おおよそ週刊少年ジャンプらしくない、友情や努力や勝利とはかけ離れた中二病を貫き通した世界観に、見事にナイトメアのダーティーな雰囲気が合っていました。
アルバム全体を通してデスノート的な暗く社会派の作風が目に付きますが、現世離れしたラストのピアノバラード『縷々~lulu~』だけは、あくまで耽美ヴィジュアル系の空気感を醸し出しています。というかまあ正直、初めは上述のデスノートの2曲とこれしか聴いていませんでした。
少し前のシングル『livEVIL』(リヴィーヴィル、と読むらしい)がめっちゃくちゃカッコイイ曲だっただけに、なんだか物足りない気がしたんですよね。
このアルバムはデスノートのサウンドトラックとしては最高なんですが、むしろ『livEVIL』みたいなの作れる多彩なナイトメアが自らアニソンバンドになるのはちょっと・・・と、いうようなことを、評論家を気取って当時インターネット上のどっかに書き捨てたような・・・青二才でしたな。今もたいして変わらんけど。
・アニメに頼らなくても名盤は作れることを立証した、セルフタイトルの『NIGHTMARE』
エイベックスに移籍してから初のアルバム。実はバンド名の表記も移籍とともに「ナイトメア」から「NIGHTMARE」に変わっていますが、ややこしくなるので自分の文章内では「ナイトメア」で統一します。ちなみに「シド」も同じ理由で現在の表記は「SID」、「アリス九號.」はもっと面倒で・・・あ、アルバムの話でしたね。
なんというか、ミクスチャーになりました。基本的に作曲はPCらしいし、元からデジタル処理率の割と多いバンドでしたが、更にその割合が高まることに。でも、オリジナルアルバムでは一番好きです。わかりやすくて。いかにもLUNA SEAに影響を受けたバンドらしい、キャッチーさとテクニカルさが合わさった内容。20年くらいヴィジュアル系から離れているような浦島太郎状態の人にも受け容れられるかも。このアルバムでは数少ない生音バンドサウンドの『SLEEPER』は素晴らしく美しい。もっとこういうの作ってほしい。
他には『Cherish』という曲があるのですが、今どきあまり見かけないように思う(思うだけで実際はあるのかもしれないけど)業界批判めいた歌詞。いいねえ。
私はまるで あなたの飼い犬みたい
毎日おいしい餌を与えてくれて ありがとう
同曲がこれに関する皮肉なのかよくわかりませんが、実はナイトメアは、ベストアルバムの数が非常に多いです。X JAPANより多いです(X JAPAN=8枚、ナイトメア=9枚)。劇場版『デスノート』 が公開されるタイミングで3年前に廃盤になったベストアルバムをいきなり再発したり、キナ臭さはX JAPANを超える勢い。
・親切なベストアルバムはこれだけ。10周年記念の『Historical~The highest NIGHTMARE~』
唯一オススメできるベスト盤です。結成10周年を記念しての2枚組。初期の楽曲は再録されていて、特にボーカルの力強さが段違い。入門編としてはこれしかないと思う。先述の『livEVIL』も新録版。ファン人気が非常に高いメタリックな曲『極東乱心天国』へ曲間なしで雪崩れ込む展開が素敵です。もちろんデスノートの2曲も収録していますが、最終的に印象に残るのは別の曲だと思います。
2017年現在は活動休止中で、バンド結成20周年の2020年に活動再開の予定とのことです。東京オリンピックまでお休み。もうベストアルバムは出尽くしているので、古いテイクばかり集めたライブアルバムとか北海道公演のテイクを収めた公式ブートレグとか出そうだよね・・・。
次回は、そんなナイトメアの覆面バンド、仙台貨物を紹介します。
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