毎度のこと、'90年代のヴィジュアル系についてグダグダ言っているオタクの自分ですが、いつも悔しく思うことがあるんですよ。

 

それは何かというと、「そのバンド(その人)が活躍していたリアルタイムを見ていない」ということ。こればっかりは、どんなに知識を集めようが、どんなに音源を聴き込もうが、越えられない壁なんですよね。タイムマシンの開発にはまだまだ時間がかかりそうですし。

 

その中でも最もといってもいいくらい悔しいのが、hideさんの現役時代をほとんど知らないということです。たぶん、徳光和夫さんの司会でお馴染みだった当時のランキング歌番組「歌の大辞テン」で『ROCKET DIVE』の映像を見たのが、唯一の彼が存命中の頃のリアルタイム体験です。



・もしかしたら初めて、自分にとっての「ヒーロー像」だったのかも

 

以前「自分はヴィジュアル系オタクだけどメンバーの外見とかにあまり興味がない」と書きましたが、hideさんに関しては数少ない例外で(清春さんのお洒落センスは最初ちょっと理解できず。というか正直、最近もたまについていけないことが)、その外見にまず度肝を抜かれたというか、なにこの人?と思ったんですよね。

 

ジャージ姿に大きなサングラスに逆立てたピンク髪。宇宙人としか形容しようのない、他の人が真似したら失笑してしまいそう、でもなぜかかっこいい。現実には絶対いないような格好だけど、かといって少年マンガにも少女マンガにも出てこない、一周回ってビックコミックスピリッツに出てきそう(自分でも何いってんのかわかんなくなってきた)。

子供の頃の自分は、いわゆる戦隊ものなどにほとんど興味がなく、仮面ライダーもウルトラマンもほとんど観たことがなかったし、ドラゴンボールは観ていたけれども悟空をヒーローとして捉えていたかというとそういうわけでもないし、ドラえもんは大好きでしたが彼もまあ、ヒーローという感じではなく。

 

今ではネタ的な楽しみ方もできますが(これは誰に何を言われようと自信を持って言いますが、愛があってこそネタ的に楽しめるのです。ここでの書き方も一応、自分なりのルールがあります)、自分にとってのヴィジュアル系はあくまで「かっこいい人たちの象徴」でした。

たぶん、普通よりもかなり遅れて自分にとってのヒーローが生まれたんでしょうね。じゃあなんでギター買ったりバンド組んだりして真似しなかったの?というとこれは話すと長いのですが(あ、でもギターは多少かじったことあります)、ある意味で最初のヒーローの象徴のひとりがhideさんだったのだと思います。



・面白ければなんでもいいんだよ。

hide TRIBUTE SPIRITS
オムニバス
ポニーキャニオン
1999-05-01


 

初めてのhide体験はこのアルバムでした。トリビュート盤の意味すらもよくわかっていませんでしたし、たまたま図書館で借りたんですよ確か。で、歌詞カードの清春さんの写真だけ切り抜かれていたんですよ。やめようねそういうの。

布袋寅泰さん、GLAY、BUCK-TICK、コーネリアス、SIAM SHADE、hideさんとの長年の盟友であったkyoさんとTETSUさん、hideさんが生前に可愛がっていたZEPPET STOREやshameというバンド、その後もトリビュートに参加する当時デビューしたばかりのTRANSTIC NERVE、そしてYOSHIKIさん、という豪華な参加メンバー。だけど、いま思えば、一般的なヴィジュアル系のイメージの枠って、GLAYとLUNA SEAと清春さんくらい。ヴィジュアル系ど真ん中の枠は、後年のトリビュート盤で楽しめますが、それはまあ、後日。

歌詞カードには参加者それぞれのhideさんへのメッセージが書かれているのですが、LUNA SEAはメッセージ無しで大きくバンド名のテロップが掲げられているのと、BUCK-TICKさんの「VIOLENCE ON THE HELL」というクールな一言が印象的。追悼コメントではあるけど、みんなあまりしんみりとはしていないのがいいですね。

未発表のボーカル音源から作られた『CELEBRATION』は、飲み屋の会話から発展して収録が決まったそうです。当初、hideさんの過去の音声を使うのってどうなんだろう?という意見もあったそうですが、PATAさんの「みんながhideの声を聴いて、楽しんでくれるならそれでいいじゃん」の鶴の一声で決まったそうです。実際、自分が初めてCD音源でhideさんの声を聴いたのは『CELEBRATION』で、その体験がなければ過去の作品を掘り返すこともなかったかもしれない。石塚先生(PATAさんの本名であり愛称)に感謝。



で、これ以上は書かないというか、書けません。後から詰め込んだ知識をここで披露したところで、悔しさが倍増するだけなのです。ただ、これから先も、この宇宙人みたいなかっこいい人を好きになってくれる人が増えたらいいなあ、と、それだけ思っています。

この記事を書いた人


プラーナ

henkou_ver

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。

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