今回は、La'cryma Christi(ラクリマ・クリスティー)です。ヴィジュアル系にさほど興味がなくても、自分と同世代以上なら、なんとなく聞き覚えのある方は多いのではないでしょうか。

・ポップなヒット曲もあるけど、本性はこっち?

『With-you』や『未来航路』など複数のヒット曲がありますし、『あいのり』などのテレビバラエティ番組にメンバーが出演していた時期もありました。「~しまくりマクリスティー」みたいな言い回しが少し流行ったこともありますし、今でもとある特定の世代の方はたまに使ったりとか。世代がバレるぞ!というのはともかく、実はこのLa'cryma Christi、通称ラクリマ、様々な国の音楽を取り入れていたり、実はけっこう社会派な歌詞もあったり、ファルセット使いまくり、転調しまくりマクリスティーな変態です。

magic theatre
La’cryma Christi
ポリドール
2000-03-15


その本性が如実に表されたのが、メジャー3作目の『magic theatre』。この作品あたりから、一気に売り上げが落ちました。まだヴィジュアル系ブームの渦中ではあったし、CDもまだ本格的に売れなくなってはいない頃。まあ、でも、それもそのはずなんですよね。一般的にヒットした彼らの楽曲は甘々なラブソングでした。それがいきなり、ダークな方向に振り切れたのですから。表紙の可愛らしいウサギさんは、ジャケットをめくった先でとんでもないことをして暴れています。

冒頭のタイトル曲『Magic Theatre』からして、11分11秒の大曲であり、神秘的なコーラスが延々と続き、サビに至るまで8分以上かかるというマニアックなプログレッシブロック。といってもサビ前の弦楽器隊の絡みと絶叫などは実にスリリングなので、聴いていてダレることは全くありません。

・国籍不明、年代不明。カオスな魔法劇場

 

そこからサイレンのようにやかましいギターが鳴り響き、2曲め『イスラエル』へと雪崩れ込みます。一応キャッチーで疾走感あふれる曲でもありますが、激しく転調が繰り返されるトンデモチューン。間奏では選民思想に関するセリフ、を逆から読んだもの、がアラビア語の呪文のように吹き込まれます。と思いきや、その直後には南国っぽいフレーズの応酬。乗っかる歌詞はこうだ。

白髪の偽の教祖(グル)たち叫ぶ 「悔い改めよ されば救われん」
悲劇の時代 メシアを求めた旧人類


「教祖」という意味を持つ「グル」という単語は、サンスクリット語です。イスラエルなのに南国でサンスクリット?あと、前半で「バイク」が登場するのもなんとなく違和感があるのですが、そもそも、現代が舞台なのか近代が舞台なのかすらわからない。でも、そのカオティックな世界観に一度ハマると脱け出れない、不思議な魅力を持った1曲。これの前のアルバムのタイトル『Lhasa』は仏教用語でしたが、今回はキリスト教とヒンドゥー教?

白髪の唯一神は偽者だったらしく、最後の最後で本物の神が降臨なされます。

神がGAME(この世)をリセットしたのさ

Endrollも見ずに...


降臨なされてすぐ、いともあっさりと、すべてを無に還してしまわれた・・・ここから魔法劇場のはじまりはじまり・・・なんだけども、グルとかメシアとか旧人類とか言っていた厳そかな雰囲気から一転して、「GAME」を「リセット」、「エンドロール」などという、なんとなく身近な単語が。もしかして全部、RPGソフトの世界の出来事だったのか?神とはゲームプレイヤー。そういえば、さっき書いた南国っぽいフレーズ、ちょっとゲーム音楽っぽくもあって、このフレーズに乗って海上ステージを走るスーパーマリオを想像するとちょっと楽しいです。

・その後は、劇場を覗いてのお楽しみ・・・

なのですが、同じ劇団だとしたら、かなりフレキシブルです。曲ごとに世界観がバラバラです。リア充カップルの役者や、自殺志願者の役者や、R-18っぽい役者や、独裁者に盾突く役者・・・。1曲ごとに物語が完結しているのにもかかわらず、アルバムとしてまとまっているのが凄い。そして、また長ったらしい1曲めから通して聴きたくなるんですよね。

途中でチラッと書いた『Lhasa』、メジャー初のアルバム『Sculpture of Time』もおすすめ。ぜんぶ名盤で、ヴィジュアル系オタク界では基礎です。

Lhasa
La’cryma Christi
ポリドール
1998-11-25


ヒット曲『With-you』『未来航路』収録。前半はポップ、後半はちょいマニアック。

Sculpture of Time
La’cryma Christi
ポリドール
1997-11-12






飛行機で世界を飛び回って、いろんな街を空から見ているようなアルバム。『南国』があったり『偏西風』が吹いていたり・・・この多国籍感がラクリマの大きな魅力。

この記事を書いた人

henkou_ver

 プラーナ

サブカル中二病系。永遠の14歳。大人のお子様。 

note

twitter

google+


instagram



スポンサーリンク