ぷらすです。
今回ご紹介するのは、映画史・時代劇研究家 春日太一の『時代劇は死なず! 京都太秦の職人たち』ですよー!
本書は、そんな彼が京都太秦の東映撮影所を中心に徹底的なフィールドワークを行い、時代劇の繁栄と衰退、そしてこれからについて熱い思いを語る名著です! 



2011年、42年間続いたテレビ時代劇『水戸黄門』が終了、昨年、歌舞伎俳優の中村吉右衛門主演の『鬼平犯科帳』がレギュラーシリーズとその後のスペシャル合わせて150本目を機に終了。
時代劇ファンにとっては何とも寂しい状況ですが、それより遡って2008年に集英社新書から出版されたのが本書『時代劇は死なず! 京都太秦の職人たち』でした。

春日太一とは

本書の著者は芸術学の博士号を持つ、映画史・時代劇研究家の春日太一。
邦画、特に時代劇には造形が深く、映画、テレビドラマ問わず膨大な知識を持ち、大学在学中から撮影所スタッフ、俳優、映画関係者からの徹底したインタビューを行い、本書を始め、「天才 勝新太郎」「市川崑と『犬神家の一族」「あかんやつら 東映京都撮影所血風録」など、現代劇、時代劇の現場や役者、映画関係者の息遣いが聞こえるような著作を世に送り出しています。

僕はラジオでこの人を知ったんですが、とにかく博識。こと映画の話となるとノンストップで時間いっぱい話し続けるんですね。
しかも、その内容は研究者だけあって非常に深くて映画ファンの僕にとっては凄く面白いし、ご本人もとても話が上手いのでもっと聞きたいと思ってしまうんですよね。

膨大なインタビューと取材から時代劇の『歴史』をひも解く

本書はそんな彼の『デビュー作』とも言える本で、時代劇映画の繁栄と衰退、映画からテレビへの移行、若者の時代劇離れと衰退、制作現場の現状まで、外側と内側の両面から『時代劇』を語り尽くしています。
僕が読んだのは、河出文庫で2015年に復刊された文庫『時代劇は死なず! 完全版 京都太秦の職人たち』の方なんですが、あとがきでは本書が書かれた2008年より悪化している時代劇を取りまく状況を憂いつつ、それでも「時代劇は死なず!」と再び胸を張って言い切れる日が来ることを祈ってと締めくくられていて、一年前の2014年新潮社から出版された「なぜ時代劇は滅びるのか」では、時代劇を滅ぼした状況や犯人?を実名で糾弾? しつつ、やはり熱いエールを送っているんですねー。

本書から伝わってくるのは、春日さんの時代劇への愛であり、本書と「なぜ時代劇は~」の2作は戦後日本の近代歴史を語る歴史書であると同時に、春日太一から時代劇関係者、時代劇を愛する全ての人へのラブレターです。
「時代劇はお年寄りや史実マニアのためにあるんじゃない」「時代劇は本来何でもアリの自由なジャンル」という春日さんのスタンスと、失われつつある技術の継承という命題は、何も時代劇や映画といったエンターテイメントに限った話ではなく、現代日本のあらゆる職業に通じているようにも感じます。
関係者からの膨大なインタビューから最後に浮き上がってくるのは、職人の心意気じゃないかなと思うんですよね。

そんな、春日さんの熱い思いが伝わる本書、映画ファンの人はもちろん、そうでない人もきっと楽しめるんじゃないかと思います。

興味のある方は是非!! 


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この記事を書いた人 青空ぷらす

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