シティ・フットボール・グループ
 (City Football Group)以下CFG とはアブダビユナイテッドグループ傘下のサッカー事業グループ。サッカークラブを株式を所有することで子会社として所有している(持株会社方式)。特徴としてはマンチェスター・シティFC(以下シティ)をアブダビユナイテッドグループが所有したところから始まった事業のため傘下のクラブ名には基本的に「シティ」という単語が入っている。例外は資本提携にとどまっているJ1の横浜F・マリノスのみ。


ということで前回と同じ導入になってますが第2回です。
前回はCFGの概要について説明していましたが、今回は巷で今出回っている「噂」について触れていきます。


CFGとマリノスの関係

前回の記事でも触れたとおり、マリノスで長い間プレイしていた中村俊輔が移籍をしました。
その移籍の原因がCFGにあるのではないか、CFGがベテラン切りを推し進めているせいではないのか、という噂が多く出回っており、実際その論調で記事を書いているサッカーライターも見受けられます。

では、果たして本当にCFGが悪いのか、そもそも中村俊輔の移籍が悪いことなのか、という話ですね。


そもそもマリノスとCFGの関係は他のグループ内クラブとは大きく違い、「所有クラブ」という扱いではなく資本提携をしているにすぎません。

本家シティのスポンサーでもある日産からの呼びかけにより、CFGと日産がパートナーシップを結ぶことになり、その中の一環としてCFGがマリノスの株式を19.95%取得するに至りました。

また、CFGがマリノスの株式を取得するに至った経緯としては2009年、リーマンショックに直面した日産はマリノスへのポケットマネーでの赤字補填を停止します。その結果赤字経営が体質化していたマリノスはすぐに債務超過に陥ります。

そんな中Jリーグはクラブライセンス制度の開始を告知、マリノスは2015年1月までに債務超過の解消をする必要に迫られます。

そこで白羽の矢が立ったのが日産と提携していたCFG。 
日産側がCFGにマリノスの株式を19.95%売却をすることでその売却益を債務超過の解消に当てられる、ということです。

また日産側もシティ経由でお金が動くのであれば、当時限界を迎えていたマリノスに直接お金を使うよりも宣伝効果が得られ、CFGもまだまだ成長の余地を残しているJに手をつけることができれば無駄金にはならない、という三者とも得をするとの判断の上での取引でした。

そしてマリノス側も大株主が日産という状況を変えないまま、CFGのノウハウや人脈などを利用できる状況になりました。
実際現マリノス監督のエリック・モンバエルツもその人脈で招聘が可能となった監督でもあります。

中村俊輔の移籍はCFGのせいなのか
 
そして今回の本題、俊輔の移籍はCFGのせいなのか、という話です。
先に結果から書いてしまえば「そんなことはない」でしょう。

元々マリノスの体質として昔からベテランを割とさらっと切るところがありました。
松田直樹なんかもまさにそうでしたね。 そしてその頃CFGとマリノスは全く関係がなかったのでそもそものチームの体質と言えるでしょう。

それでも多くのライターが書いているのは「CFGが株式を取得して、クラブ首脳陣を操っている」という果たしてどこから現れたのかちょっとよく分からないお話。

そもそも、人材の派遣や人脈による選手や監督の確保に協力をしてるとはいえ、19.95%の株式しか持っておらず現時点でも大株主は日産。
その中でなぜ日産の方に目が行かずにCFGが急に悪役として現れるのかがちょっと理解できませんね。

CFGジャパンのマネージングディレクターの利重孝夫氏はインタビューで現時点では完全に買収する気はなく、Jの現状ではその魅力はまだない、と語っていることから完全に所有クラブとするにはまだ程遠い現状。そこまでお金を使ったり労力を使う魅力はまだない、ということでしょう。

また、同インタビューの中で、利重氏はCFGの分析担当やマリノス側の強化部長や監督、利重氏なども含めたフロント陣での会議をほぼ毎週時間を合わせ行っていると答えていることからも、CFG主導で全ての移籍や補強が行われているわけではなくマリノスとCFGが一体となって決め、そこに力を貸している、ということが伺えます。


というここまで書いた中でも既に世の中にある情報を集めるだけでも、この移籍はCFGが暗躍した結果ではなく、CFGと提携しているマリノスとしての意思である、ということがよく分かります。

もちろん、マリノスサポーターの気持ちになればクラブのレジェンドである選手がいなくなるのは寂しいことだとは思いますが、それでも年齢に限界のあるスポーツの中世代交代で少しずつ選手が入れ替わっていくのは人間でいえば謂わば代謝のようなもので、いつかは必要になるものでもあります。

その中でマリノスというクラブがどういうところから来て、今どうなっていて、この先どうなっていくのか、という事を冷静に見返すいい機会なのではないか、と思います。

CFGは非常にビジネスライクに、論理的にクラブの経営を考えており、収益を上げるにはクラブがビッグクラブになっていかないといけない、という理念のもとで運営されています。
今、CFGとマリノスがやろうとしていることは日本のフットボールの未来を変える可能性を持った大きなプロジェクトでもあります。

このタイミングでこの移籍のゴタゴタでこのプロジェクトに水を差す形になってしまえば日本のフットボールの発展に大きく関わってくることになるでしょう。

この記事に目を通していただけた方が少し冷静になり、もう一度自分の目で様々な資料に目を通し、考え直す機会になってもらえればいいなと思い書いております。


ということで2回に分けた長文でした! 調べもせずに、ただ過激なことを書いて目を引こうとしてる記事が多く目に付いたのが非常に不快だったので現時点である話をちゃんとまとめてみました。

多分、あまり多くの方の目に触れることはない気はしますが今一度調べ直してみて欲しいですね〜。


わせい

ついったー 

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